宿題

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2002年07月24日(水) 散文散歩/大貫妙子
春はいちどきに命が吹き出すようで、私も落ち落ち眠っていられない。

南西の強い風をうけ、森の木々が大きく撓む音で目覚めた朝七時。ナスを植える。

三時間睡眠の後のぬけるような青空の光の下で頭がくらくらする。

土の上にしゃがみこんで苗木に支柱を立てていると、首筋に太陽がまっすぐ落ちて来る。

澄んだ空気と、まだ冷たい風と、少し痛いくらいの陽の光の強さ。この三点セットが好きだ。

ついでにまるまる赤く育ったラディッシュを七〜八コほど摘んで水で土を洗い、

ツピツピツピツピ鳥の啼く森を眺めながら、まんまウサギみたいにカリカリかじる。

とにかく深呼吸するだけで幸福だと心から感じる一日は、そうはない。

早起きはするものだなあ。


隣の愛ちゃんという柴犬が柵の隙間を抜けて、鎖をじゃらじゃらひっぱって走り込んで来た。

もう、うれしくって、私は愛ちゃんに頭とか顔とかいっぱい叩かれるままになった。

ポコポコのベロベロだ。


夢のように爽やかな朝は眠気を誘う。ちがうな、寝不足なだけかもしれない。

光のいっぱい射し込む畳の上に寝っころがって本を開いていたら眠ってしまった。

目が覚めると、読みかけの本のページに指がしおりのようにはさまっていた。


★散文散歩/大貫妙子★

マリ |MAIL






















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