「こいつはわしの小川だ。さかながいっぱいいるんだ」
スクルッタおじさんがどなりました。
「あのねえ、スクルッタおじさん」
と、ミムラねえさんはおちついた声でいいました。
「これはね、川でもないし、小川でもないのよ。さんずい河なのよ。
どうしてあなたは、ほんとうはないものや、ほんとうはおきなかったことばかり、わあわあいうの」
スクルッタおじさんは、立ちあがりながら、さもえらそうにいいました。
「もし、おまえさんが、これを河だとわかったとしてもだな。
なんでそれを口に出していう必要があるんだい。いや、おそろしい子どもだよ。
なんで、わしをかなしませるんだい。」
★さびしい心は、おしゃべりになる◇ムーミン谷の11月/トーベ・ヤンソン★
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