はじめっからずっと、フィリフヨンカは食事の支度をするのは、わたしだと思っていました。
ベランダには、ムーミンのうちの、大きなどらがつるしてありました。
フィリフヨンカは、あのしんちゅうの鳴りもので、食事時を知らせるようになれたらいいなあと、
いつも思っていました。
ジャラン、ジャラン、ジャランというどらの音が、谷間いっぱいにひびきわたると、みんなが口々に
「食事だ!食事だ!きょうのおかずはなんだろう。ああ、おなかがぺこぺこだ!」
なんてさけびながら、かけだしてくるのです。
フィリフヨンカの目に、なみだがうかびました。
そんなたのしみを、ヘムレンさんがうばってしまったのです。
あとかたずけだって、わたしがするわよ。よろこんで。
ただ、人からいわれてるすのでさえなければね。
★ご先祖様は冬眠中◇ムーミン谷の11月/トーベ・ヤンソン★
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