○プラシーヴォ○
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2001年12月18日(火) 表情

ふと思い出した事を書いてみよう。

1年半前、7月27日、堕胎手術の時のこと




手術が終わって、個室に戻り、

「俺、路駐してる車を病院の駐車場に戻してくるね」

というハム男の声を聞いた後、
まだ残っている麻酔と、終わった安堵感からか
再び私は眠りについた。


目が醒めて、時計を見ると3時間ほどたっていた


トイレがしたい、

と思い
恐る恐る立ち上がり、点滴を台から外して手に持つ
どこにも痛みとか、違和感が無い

トイレに入ると、ナプキンがもう血まみれだった


普段より若干力が入らない足で、ゆっくりとベッドに戻る


さっき、立ち上がった時には気づかなかったが、
ベッドの、私のお尻があった辺りが大きく血で染まっている


大丈夫なのだろうか?
こんなに血が出てもいいのだろうか?

ハム男、ハム男、と口の中で呼びながら、
不安で力がどんどん抜けていく体をなんとか支える

ガラリ、と個室のドアが開き、ハム男が帰ってきた
血まみれの私やベッドを見せたくなくて
慌ててベッドに横たわる

ハム男の後につづいて、看護婦さんも入ってきた
「あら、目が覚めた?
 じゃあ、おトイレ行きたくない?大丈夫?」

「あ、今行きました」

ええ?という、笑いながらも困った表情で
看護婦さんはハム男を見た

「1人で?んもう、術後、絶対に1人では立ち上がらないように
 伝えてねって言ったのに!彼氏さん、何やってたのよ
 テレビでも見てて忘れちゃってたんでしょう!」

自分では麻酔が抜けたと思っていても、
急に意識を失ってトイレで頭を打った人とかが
実際にいるらしい


じゃあ、あと30分くらいゆっくりして、
大丈夫そうだったら受付に来てね

と言い残して、看護婦さんは出ていった


2人きりになって、ハム男は椅子に身を投げ出すように
荒々しく座った

「彼女にこんな事させて、
 しかも麻酔がかかって寝てる時に1人で放っておいて
 最低の男やと皆思ってるんやろうな…そうや。俺は最低で最悪やわ」


いつも優しくて穏やかなハム男の
そんな自嘲的で、苦々しい顔は初めて見た

手術が決まってからも
私が怯えないように、ずっと笑顔で
「すぐ終わるよ 大丈夫だよ」
と励ましていたのに

あれが、本当の今のハム男の気持ち
苦しんでる顔

一生忘れられない



ハム男だって、泣きたかったんでしょう?


がちゃ子 |偽写bbs

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