○プラシーヴォ○
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2001年12月15日(土) 判明

ごちそうさまでした…ごめんなさい

と、心の中で唱えて箸を置く
7割ほど残った蕎麦定食

お腹そのものは空腹なのに、
胸の辺りが満杯で、うまく飲み込めないのだ

店を出て、自然と早足になる
ハム男の家への電車がいつもより遅く感じられる


テレビの上に置いてある車のキーを
ポケットへ滑り込ませ、
さっき入ってきたばかりのドアから、再び外へ出る

5分ほど歩いて駐車場に着き、
ハム男の車の横に立つ

さっき、キーを手にした時、うしろめたさが
最高潮に達した。
でも、もう見ずにはいられない。

夜の冷気で冷えきったシートに座り、
バイザーを開ける。
あの時、ハム男がしたのと同じように
ハイウェイカードや高速道路の領収書を引きずり出す

びくん、と心臓が跳ね上がる
青と黒の色調をした何かが私の手の中にある
あわてて車内灯をつける


「これ…」

マクドでもらった、ガソリンスタンドで使える割引券だった
青と黒の模様で、100円割引と書いてある

「そうですか…」

誰に言うでもなく、呟く

綺麗に再びまとめて、バイザーに押し込むと、
押し込んだ反対側から何かが出てきた


一度静まった血が、再びスゴイ勢いで流れ出す


ハム男、知らない男1人 知らない女2人 計4人
印刷された『みんな仲良し』の文字
温度差で、少し変化したり落ちている色


誰?いつ?どうして?どこで?

よくよく見ると、この男性に見覚えがある
3つ子で、そのうち一人だけ鹿児島にいるという人だ
あとの2人は見たことあるから、きっとそうだ
顔が似てる

ピースするでもなく、肩を抱くでもなく、
何かの行事の時に撮った集合写真のように
整然としている4人

日焼けしているハム男
きっと今年のお盆に鹿児島へ帰省した時
撮ったものだろう

嫉妬心がちっとも温度を上げなかった
いい写真だな、とすら思った


これ以上憶測しても、意味が無い
今度、無邪気を装ってバイザーを開けよう
そして、これは何?と
ハム男に直接聞こう


なんか、ホッとしたなあ
もっともっと泣きわめいてしまうような
ドラマチックなプリクラを予想していたのに


次の日、プリクラを見つけた時より血の気が引いたのは、
車の鍵を元の場所に戻していなかったこと…

ハム男が寝ている間に
慌ててテレビの上に置く


…気づかれて…いませんように


がちゃ子 |偽写bbs

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