○プラシーヴォ○
目次←どうして?それから?→


2001年12月09日(日) 私はタイクチです

空腹で目が覚めて、
頭の横にあった目覚ましがわりの携帯を覗き込む

AM10:00

ああ、今日はどうするんだっけ?
結局昨晩、ハム男からの連絡は無かった

確か今日は、朝イチからサッカーの試合があると言っていた
遅くとも昼過ぎには体が空くんだろう

PM1:00

母のつくってくれた焼きソバで満腹
電話の子機を握りしめて、しばし見つめる

つきあって1年半が過ぎようとしているのに
今だにハム男に電話をするのが苦手だ
私からは、何か連絡事項がある時のみ電話をかける

緊張しながらハム男の携帯番号をプッシュする

しばらく呼び出し音が鳴って、無機質な留守電の声が聞こえてくる

きっと、寝ているんだ
昨日お酒を飲み過ぎて、サッカーには行けなかったんだ

だとすると、手強い

ハム男が一旦寝てしまうと、電話のベルくらいでは目覚めない



PM2:00

PM4:00


やはり電話に出ない

実は私は朝から半泣きだった
ハム男のバカバカバカヤローと唱えながら
ずっとずっと畳の上をゴロゴロと悶えていたのだ

私に会う努力をどうしてしてくれないのか?
電話一本、する暇が無いのか?

ああ、そうだ、がちゃ子に電話しないと
俺のことを待ってるかもしれないな なんて
むっくり目が覚めたりはしないのか?


どうして私ばっかり好きなまんまなの?
どうして私を長年連れ添って興味を失った妻みたいに扱うの?
どうして昨日の新郎はあんなに優しいの?


このままつきあっていって
私はずっとこんな風にあなたに文句を言い続けるの?


泣きつかれて、このままでは頭がパンクしてしまうと思った私は
久しぶりにプレイステーションを引っ張り出した
読み物形式のゲームにのめり込み始めたころ…

PM7:00

電話が鳴った

「がちゃ子?元気?」

寝起きにしては、スッキリした声

「寝てたの?」

「まさか!サッカーの試合してたよ
 朝から、2試合もあってヘトヘト!メンバーと飯食って
 今、家に帰る途中」

ハム男は、ハム男のスケジュールをこなしていただけだった
私が怒る余地はどこにもない

一日中ぎゅうぎゅうと胸にため込み続けたハム男への不満は、
突然行き場を失った

早くクッションに顔を押しつけて
体を丸くして、行き場を無くしたいっぱいの言葉を
一人で反芻したかった
体の中から出してしまいたかった

「もしもし?あれ?がちゃ子」

「…うん」
声が出ない
口が開かない 

「なんか、暗いね。どしたの」

「ばいばい」


チン と電話を切る
うずくまる
バカバカバカ バカは私

私がいなくっても十分に楽しそうなハム男を見て
嫉妬してるだけの
度量の狭い私

やっぱりがちゃ子がいないと寂しいよ

って言って欲しいだけの
退屈な私


がちゃ子 |偽写bbs

My追加