○プラシーヴォ○
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お弁当を食べ終わり、腹ごなしに会社の近くの スーパーへ歩いていった。
しばらく本を立ち読みして すでに冬っぽい風の匂いをくんくんかぎながら 歩いていると、お尻のポッケにつっこんだ携帯が ブルブル震えた。
ハム男からだ。
???と電話をとる。
「がちゃ子…? 日曜日、サッカーの試合が入っちゃって… でも15時か16時くらいで終わるんだ」
「は? 温泉行こうと思ってたのに〜!! 一生サッカーやってろバーカ! っていうか、ブラジルに行っちまえ!」
…と
いつもなら怒り狂う私だが、 ぐっとこらえて、喉の上の方から 可愛い声をしぼりだす。
「おっけ〜い!!了解で〜す!」 隣にいたサラリーマンが くわえていた爪楊枝を落としそうな勢いでびっくりしてる。
いつもと違う反応に、 ハム男は、よけい恐れをなしたのか 「金曜日の夜は、うちに来いよ、がちゃ子」 とつけ加えた。
驚きすぎて、スハッと勢いよく息を吸い込んでしまった。
いつもいつも 勝手に金曜日の夜にハム男の家に押しかけて 月曜日の朝、ハム男の家から出勤する。 というサイクルが出来つつあった。
もしかして、 週末、1人で過ごしたい瞬間とかあるんじゃないの? と最近なんとなく考えるようになった。
だから
おいで
と言われたこと。
私はハム男の家に行っていいのだということ。
嬉しかった。
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