○プラシーヴォ○
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2001年10月11日(木) ワルイコトシテナイヨ

「こっちの男の子がな、
夜中にニッコリ笑うねんで。
あ、ほらほら聞こえるか?歌も上手やろ」

祖母が手を叩いて笑う。

その視線の先は、カレンダーの絵だった。

母はあっけらかんと笑って話してくれる。
「びっくりしたわよう。
まあ、86歳だし、ついにきたかーって感じ」

母と2人しかいないのに
「隣の人は誰や?
私のことをさっきからずっと怒鳴ってるねんけど」
と言ったり、
「原節子の足は大丈夫かいなあ、心配やわ」
と大昔の清純派女優の足の具合を心配してみたり

祖母は、50歳になる息子(養子)と暮らしているが
昼はいないので、心配。
とりあえず明日、病院につれていくらしい。

あ、そうそう

と母が私の顔を見る。

「さっちゃんがね、筋無力症になっちゃったんだって」

私の3歳上のいとこ。
今年に子供を産んだばかり。
顔は私にそっくり。

子供を抱いてぼうぜんとする旦那さんの
顔が浮かぶ。

筋肉を使えば使うほど疲労や痛みがどんどん増し、
動かなくなる病気…らしい

でも死に直結するわけではなく、
薬や手術で日常生活を営むのは可能らしい。


出産をした後に発症するケースも多いみたい。

私と同じ顔をしたさっちゃん。
子供を抱いて、自分も桃のようなホッペで
笑っていたさっちゃん。

悪いことしてないのに。

幸せなままでいていい人なのに。

さっちゃんの幸せの邪魔をしないでよ。


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