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■ トウシューズ
机上の整頓も部屋の片付けもできないあたしなので、失せ物が見つかるのにも時間がかかる。
が、一昨日消えた携帯がちゃんと近所のスーパーの警備室に届いていた。
こんなにすぐに亡くしたモノが見つかるなんて!
めったにないから、とてもウレシイ。
総合サービスカウンターへ来い、と言われ、名前と住所を聞かれたあとで、警備員のおじさんが来るまで待てという。
その間、あたしの若い友人がてきぱきと働いてるところを見ていた。
薔薇色リボンのトウシューズみたいなハイヒールがきれいだ。
くるんくるんの巻き髪もなんてキレイなんだろう。
若いオンナを本当にまぶしく思った。 嫉妬ですらなく、ただまぶしいのだ。
従業員が一人、休憩から戻ってきた様子。
せっかくだから、彼女とお茶を飲もう、と思った。
「今日の休憩、何時から?」聞くと 「あと5分くらいで休憩です」という。
ぐっ、たいみん〜!
携帯を受け取ったらすぐ帰るつもりで財布だけ持ってきたが、中身は空っぽ。
「ATMに行きます?」 だなんて、気が利くようにもなったんだな。
若いオンナが細いカラダに似合わず、もりもりとランチをたいらげるのを見ながらお茶を飲んだ。
昔むかし、みんなそれぞれ、いろんな恋をしていた。
彼女は札幌の中学校を卒業すると、家庭教師と駆け落ちをして、あたしの町に来た。
家庭教師は某大手保険会社のサラリーマンになっていたが、ヒモみたいに彼女を働かせてぐうたらするようになっていた。
愛想が尽きたところへ、年下の少年から告白され、心が動いた。
その年下の少年は、彼女の美貌にはあこがれたが、彼女から逆に愛され、依存されるようになると、彼女を捨てた。
年下の少年は、もっと年下の少女と出来ちゃった結婚をして、今じゃあ父親だ。
札幌からこんなところまで来て、いろんな恋をして、でも、今もまた恋をして、そうやって一日は暮れていくのだ。
2005年03月17日(木)
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