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■ 「十月の帝国」
「十月はわたしの帝国だ」
と田村隆一は云う。
わたしの帝国は二つある。 A面とB面の帝国を支配する二人の男。
A面は空間に接し、B面は時間に接する。
A面は世間とも世界とも接し、B面は精神と宇宙に接する。
二人の皇帝は、あたしの帝国では独裁者か?
いや、彼らは君臨すれども統治せず。
主権はたった一人の国民であるあたしにある。
いやあ、なんという民主主義。
彼らは、あたしの進むべき方角を指差し舵を取る。
船に帆を張り、エンジンをかけ、水兵たちに指示を与えるのは、あたしの役目だ。
田村隆一は「詩は十月の午後」ともいう。
キンモクセイが匂いを振りまく十月の午後。
街路樹のけやきもそろそろ色を変え始める。
いはらの街のけやきはもうすっかり色づいてしまっているのだろう。
もうじき冬が来る。
まだすぐには来ないけど、そのうち、確実に、来る。
2002年10月11日(金)
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