2009年03月20日(金) |
日本、韓国に勝ち 1位通過 で準決勝へ |
「 いいか、野球ってのは、面白くなければいけない。
面白くするには、勝つことだ 」
デイブ・ブリストル ( 元 シンシナチ・レッズ の監督 )
Boys, baseball is a game where you gotta have fun. You do that by winning.
Dave Bristol
か弱い女性や、非力な人たちが、窮地で、思いがけぬ腕力を発揮する。
いわゆる 「 火事場の馬鹿力 」 だが、これには科学的な根拠がある。
個人差はあるけれど、人間の脳は、自分の筋肉に対して 100% の指令を出さず、通常は 20 〜 60% ぐらいしか、動かそうとしないものだ。
たとえば、誰かとケンカして、相手の顔を思いっきり殴ろうとしても、それで相手が大怪我をする危険や、怒って殴り返される心配から、少し躊躇する。
また、普段から拳や筋肉を鍛えてないと、脳で考えた 「 100% 」 の力が、自分の拳を骨折させたり、筋肉を傷める可能性が高い。
走るとき、跳ぶときも同じで、本来の実力より少し セーブ しておかないと、たちまち筋肉が悲鳴を上げ、すぐに怪我をしてしまう。
しかし、身の危険を感じたときなどに、この 「 脳によるブレーキ 」 が外れることがあり、その瞬間に放つ力のことを 「 火事場の馬鹿力 」 という。
プロ野球の選手らは、日頃の鍛錬によって、この 「 脳によるブレーキ 」 を意識的に小さくするよう心がけており、その成果が試合に出る。
一般人と変わらぬ小柄な野手でも ホームラン を打てたり、細身の投手でも豪速球を投げられるのは、肉体や、技術に加え、この要素が大きい。
逆に言うと、無意識に力を加減する一般人が 100球 ぐらい投げても平気だが、プロの投手が 100球 投げると、相当な負担が肩にかかる。
野球にかぎらず、スポーツの近代化は、スポーツ医学の発展と無縁でなく、いかに怪我をしないで、長く活躍できるか、その研究が進められてきた。
故障を防ぎながら、なおかつ好成績を残すには、できるだけ小さな力で球を遠くに飛ばすとか、速い球を投げる技術が、不可欠なものとなる。
第2回ワールドベースボールクラシック ( WBC ) 2次ラウンド1組 第6戦 ( 順位決定戦 ) 韓国戦は、日本が 6対2 で逆転勝ちを収めた。
今日は日本の勝利だったが、過去3度の対戦成績は 一勝二敗 と韓国に負け越しており、この試合でも7回、同点に追いつかれる場面があった。
韓国でプロ野球が発足したのは27年前 ( 日本は73年前 )、歴史の違いに、韓国側の関係者も 「 技術では日本のほうが上 」 と認めている。
おそらく、ペナントレースのように長丁場を戦えば、圧倒的に日本のほうが強く、大差をつけられることだろう。
しかし、WBC のような短期決戦の場合は、案外と 「 火事場の馬鹿力 」 が モノ をいうことも多く、いわゆる 「 根性勝負 」 の要素が大きい。
下馬評で “ 強い ” といわれた アメリカ や キューバ が、日本にとっては、韓国より 「 戦いやすい理由 」 も、そこにある。
先進の合理的な技術、戦略でなく、「 リミッター を外した強さ 」 で力勝負を挑んでくる韓国に、北京五輪では圧倒され、力負けを喫した感が強い。
今日の試合では、日本の選手たちもそれに気付いたのか、前の試合とは目の色が違う気がしたし、攻、守、走、すべてに気迫が溢れていた。
前の大会で、日本が優勝した際、「 野球が “ ベースボール ” に勝った 」 と報じた新聞もあったが、まさにそれは、そうした気迫の賜物だったはずだ。
今日も 村田 が 「 肉離れ 」 で途中退場したように、リミッター を外すと怪我のリスクも生じるが、あと2戦、各選手の活躍に期待したい。
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