2009年01月28日(水) |
11億円 の豪邸を、900円 で売った人物 |
「 合法的に不正を働く方法がいくらでもあるのに、人が犯罪に
走るのは不思議なことだ 」
作者不詳
It's strange that men should take up crime when there are so many legal ways to be dishonest.
Anonymous
先月、パリ にある米国系宝飾店 『 ハリーウィンストン 』 を強盗が襲った。
被害は約 94億円で、フランス の宝石盗難事件では過去最高額となった。
強盗は4人組で、客や店員を武器で脅し、展示品、金庫に保管されていた宝石を奪ったが、手際の良さから、内部に共犯者がいたとの見方もある。
これほどの強奪を実行するには、企画立案力、周到な準備、綿密な計画、そしてなにより、捕まった場合の リスク に対する覚悟が必要だ。
成功すると、まさに 「 濡れ手に粟 」 だが、良識ある大部分の人々は犯罪でなく、地道に働き、労働の対価を得ることで、日々の生活を営んでいる。
いくら大金をせしめても、いつか捜査の手が伸びて、牢屋に入れられるのではないかと思うと、不安で夜も眠れないだろう。
とはいえ、94億円という金額は、地道に働いて稼げる規模ではないから、真似る度胸はないけれど、つい、羨ましく感じるのも無理のない話だ。
ところが意外にも、世間には庶民の想像をはるかに上回る収入を得る人がいて、その金額は、史上最大の強奪犯ですら、遠く及ばない。
昨年9月に経営破綻した米証券大手 リーマン・ブラザーズ の 元最高経営責任者 ( CEO ) である リチャード・S・ファルド・ジュニア も、その一人だ。
1993年から2007年の間に彼が得た給与は、5億ドル ( 約 526億円 ) で、毎年、約 35億円 の年収を受け取っていた計算になる。
彼の収入は、たしかに 「 合法的 」 ではあるが、所属する企業の業容やら、成果配分からみて 「 公正 」 とは言い難く、明らかに高額すぎるだろう。
経営破綻した赤字会社の経営者として、その莫大な蓄えから、債務を弁済する責任があるのではないかと、当然、社会の批判に晒されている。
先日、彼が 5年前に 約 11億6000万円 で購入した フロリダ の豪邸を、昨年、約 900−9000円 の価格で妻に譲渡していたことが判明した。
彼は現在、損失を被った株主らから、巨額の賠償を求める訴訟を起こされており、妻への “ ただ同然 ” の譲渡は、それに対抗する手段と思われる。
彼は、詐欺や、強盗などの犯罪者ではないが、昨年来の世界的大不況における最大の 「 戦犯 」 であり、法はともあれ、倫理上、許し難い行為だ。
公的資金の投入に関して、アメリカ議会では賛否両論が渦巻いているが、彼らの財産を没収する条件を、付け加えるべきだろう。
刑法上の裁きは免れても、道義的責任、倫理的責任を追求できる手段を持たないと、こうした輩が増え、今後、社会秩序は崩壊の憂き目に遭う。
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