| 2007年09月16日(日) |
ジョブ・カード制度をご存知ですか |
「 よい人生には、三つの要素がある。
学ぶこと、稼ぐこと、そして、あこがれること 」
クリストファー・モーリー ( アメリカの詩人、小説家 )
There are three ingredients in the good life : learning, earning and yearning.
Christopher Morley
自分は、よく学んでいるか、稼いでいるか、そして、憧れているか。
冒頭の台詞は、時々、自分の人生を チェック するための指針になる。
いくら偏差値の高い学校を出ても、人生で必要なすべての学習を終えるには、学校生活は短すぎるし、卒業してからも世界は変化を続ける。
30年前の地理の教科書では 「 ソ連 」 としか書かれていなかった場所に、いまは大小さまざまな国の名前が並び、新しい国境線が引かれた。
化学も、物理も、当然、その教科書が刷られた後の発見は記載されていないし、場合によっては新説により、過去の常識が覆される事態も起きる。
学生時代に学ぶことは、あくまでも 「 基礎 」 の学問と、卒業後、知識やら情報を円滑に吸収するための 「 学び方 」 を身に付ける手段に過ぎない。
また、「 学ぶこと 」 と 「 稼ぐこと 」 は密接な関係があり、どんな仕事でも、その分野で人並みに精通していないと、満足に稼ぐことが難しい。
社会人になりたての頃、よく年配の方から 「 プロになれ 」 と言われたが、当時は、「 お金をもらう=プロ 」 ぐらいの認識しかなかった。
その後、幾多の経験から 「 プロ とは、ある特定の分野に関しては、他人に負けない知識や技能を保有している者 」 という定義に、気づき始めた。
勤め人を辞めてから、様々なビジネスに興味を持ち、なにかと手を伸ばしてみたが、失敗のもの、成功したもの、成功したが続けたくないものがある。
結局それは、自分が プロ なのか、プロ じゃなかったり、プロ になる覚悟がないために起きた現象であり、すべては必然の結果だといえるだろう。
稼ぐことの極意は、「 プロ になること 」 であり、そのためには特定の分野に関して果てなく学び続け、その道の頂点を極める覚悟が求められる。
現在、政府は 「 ジョブ・カード制度 」 の導入を計画中だが、これは、時代に呼応した 「 学ぶこと ⇒ 稼ぐこと 」 の画期的な新プログラムになり得る。
学校を卒業しても、職業能力を形成する専門的・実践的教育というものは、各人が入社した企業の社内で行われ、徐々に現場で培われていくものだ。
つまり、正社員には十分な教育機会を与えられるが、臨時の雇用者に対しては教育の機会が与えられず、長く働いても個人の能力が習熟しない。
たとえば、パソコンの打ち方は個人でも学べるので、実務経験がなくても、エクセル、ワード、パワーポイントなどの操作は可能だ。
ところが、それで 「 ビジネスの場面で相手が納得する書類 」 を作成できるかというと、まず 「 無理 」 である。
書店では、ビジネス文書の書き方を指南する書籍も販売されているので、それを参考にすれば、一見 「 それらしい書類 」 を作成することはできる。
だが、各業界には 「 業界特性 」 というものがあるし、たとえば、クレームの始末書を書く場合、被害の軽重によっても書き方は異なる。
どう考えても、仕事上のミスによって 「 1000円の損失 」 が出たケースと、「 重傷者が出た 」 ケースで、同じ書き方の始末書が通るわけなどない。
ちょっとした被害に大袈裟すぎる報告書も駄目だし、深刻な事態に、まるで心のこもっていない事務的な文書でも駄目なのである。
もちろん、非正規雇用の人でも、正社員と同様に長く勤めれば、人によっては専門技能を身に付け、優秀な技能を発揮するが、それでも評価は低い。
前述した 「 ジョブ・カード制度 」 は、企業や、教育機関と連携し、実習型の職業能力訓練を施し、「 仕事で通用する人材を育成 」 する仕組みだ。
実習の完了した人や、過去の勤務経験で一定の知識、技能を取得している人には、評価シートを発行し、個人の職業能力を政府レベルで認定する。
あまり知られていないが、これまでにも 「 ニート対策 」 として同様の制度はあったが、今回は、枠をフリーターや、子育て終了後の女性にも拡げる。
能力はあるが、やりがいのある仕事に就く機会を与えられなかったニート、フリーター、あるいは母子家庭のお母さんなど、多くの人が対象者だ。
生活に困窮する人には、実習中の生活費を低利で貸し出したり、企業研修中は一定の賃金を支払うので、過去の制度よりはるかに現実的である。
ニートでも、フリーターでも、ネット難民でも、その人が満足しているのならば別に問題はないし、それぞれに学び、稼いでいることにケチはつけない。
ただ、そんな生活で将来に 「 あこがれること 」 が可能かというと、いささか問題があるように思うし、できれば、すべての人に希望は持って欲しい。
この制度で、多くの人が 「 自分の適性を活かし、やりがいを感じる仕事 」 に就けるなら、それは、この国の将来にとっても大きな希望となる。
あるいは正社員でも、現在の仕事に満足していない人や、仕事が思うようにいかず悩んでいる人たちも、こういった制度を利用する術がある。
マスコミなどの偏った情報で、政府が 「 何もしてくれない 」 という幻覚を抱くよりも、悩んでいる人は ハローワーク で相談を受けることが望ましい。
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