Tonight 今夜の気分
去るものは追わず、来るものは少し選んで …

2007年08月08日(水) 横綱級 の うつ病



「 悲観論者とは、あらゆる人を自分と同様に不愉快な人間だと考え、

  そのためにすべての人を憎む者である 」

                     バーナード・ショー ( イギリスの劇作家 )

A pessimist is a man who thinks everyone is as nasty as himself
and hates them for it.

                                  Bernard Shaw



現在の日本は、世界一の 「 精神病大国 」 である。

自殺者の9割は 「 うつ病 」 とされているが、その数も一向に減らない。


そんな 「 情けない国 」 になった原因は、まず、日本の社会風土が昔から自殺に対して寛容で、それを無意識に受け容れてしまう傾向にある。

切腹、心中は歌舞伎や文楽の劇中で美化され、本来、むごたらしいはずの死に対して、遺族の悲しみや、周囲の大迷惑などは、隠蔽されている。

また、「 死者にムチ打たない 」、「 死者にまで責任は問えない 」 という概念が、自殺を、責任逃れをしたい人物の 「 避難経路 」 として導いてしまう。

死ねば責任を問われない、死ねば楽になれるという情報ばかりが蔓延し、死ねば家族が大変な苦労を負う、周囲に迷惑が及ぶという知識が少ない。

宗教的な面でも、キリスト教が 「 絶望は最大の敵だ 」 とみなしているのに対し、仏教では 「 素敵な来世♪ 」 みたいな話が多く、死へと誘っている。


最近では、「 経済的余裕 」 も自殺の一因になっていて、たとえば終戦直後のように、「 お腹いっぱい食べたい 」 といった生への欲求が希薄だ。

働きもせずに 「 おにぎりが食べたかったです 」 なんてメモを残して死んだ人もいたが、それは 「 弱者を見殺しにする社会 」 の責任であろうか。

たしかに、「 障害者自立支援法 」 が障害者の負担を重くしたり、低所得者が暮らし難い実情もあるだろうが、それは敗戦直後の比でない。

当時は、社会福祉の予算など微塵もない中、すべての国民が必死の思いで働き、誰の支援も期待せず、その日、その日を、精一杯に生きていた。

それでも、いまより自殺する割合が低かったのは、現代のように 「 国や、他人に、なんでも依存する傾向 」 が少なかったことが大きいと思う。


社会が豊かになったのは結構なのだが、成功した人間を妬んだり、裕福な環境にある人のことを 「 悪いこと 」 のように中傷する者も増えた。

他人が収入を得たり蓄財するために行った努力には耳を塞ぎ、いかに自分が不遇であるか、温情を受ける権利があるかを主張する人も多い。

全体が貧しかった頃と違って、いまは 「 弱者を救済する余裕 」 と、義務を多くの人が感じているので、困っている人を 「 気の毒だ 」 と捉えやすい。

ところが、それに甘えて、「 本当は働けるのに働かない 」 とか、人並みの忍耐や努力を惜しむ人々が、圧倒的に増えてきている。

つまり、豊かになった社会が 「 ぬるま湯 」 をつくり、それに浸かった人間を破滅へと導く悪しき構造が、いつの間にか出来てしまったのである。


外国人から理解され難い言葉の一つに 「 負けるが勝ち 」 という日本語があるけれど、まさに現代は 「 負けるが勝ち 」 の風潮が強い。

ある会社の従業員が、激務が原因で 「 うつ病 」 になり、その後、自殺したからといって遺族が会社を相手取って裁判を起こし、慰謝料を請求する。

たしかに気の毒だとは思うが、同じ会社、同じ仕事に携わって働いた同僚が、すべて同じような不幸な目に遭ったというわけではない。

片方では、個人の努力でストレス管理に励み、健康に留意しながら仕事を続け、成果を挙げ、昇給、昇進を獲得した人物もいる。

勝ち負けでいうなら、誰が見ても後者のほうが勝っていると思うが、前者は後者よりも多額の補償を会社から受け取る 「 権利 」 を主張するのだ。


精神病も含めて、すべて病気になったことを 「 悪 」 だとは言わないが、そうならないように予防したり、治療に励むことは 「 自己責任 」 である。

過剰に頑張りすぎる必要はなく、自分の能力や適正に合った職場、つまり 「 病気にならない仕事 」 を選ぶべきで、それも自分の責任だ。

無理をして 「 うつ 」 になると自己嫌悪に陥り、冒頭の言葉が示した通り、次の段階では他人を見下し、最後には 「 絶望 」 しか残らなくなる。

また、自分を 「 うつ 」 だと言う人の中には、本格的な治療が必要な人と、薬物投与などをしなくても、少しの努力で十分に改善できる人もいる。

ところが、姿勢次第では、仮病とまではいかないものの 「 軽い症状の人 」 が、単なる怠け癖から本格的なうつ病へと進行してしまうケースもある。


横綱の 朝青龍 が、「 ズル休み 」 を叱責され、厳罰を受けた途端、抑うつ状態に陥り、最終的には 「 急性ストレス障害 」 だと診断された。

当初、マスコミや世論は 朝青龍 の態度を責め立てたが、病状が発表された途端に、今度は同情的な見方を強め、ほとんど叱責しなくなった。

もし彼が、態度を改め、ストレスに耐えて精進していた場合、厳罰は予定通り下されたはずで、マスコミや世論も遠慮なく彼を叩いただろう。

ところが、まさに 「 負けるが勝ち 」 で、やる気をなくし、精神科にまで泣きついた結果、温情を受けられる処遇となったのである。

どのような反応をみせようと、「 悪いことは悪い 」、「 努力しない者は相応の不遇を受ける 」 という社会でないと、ますます患者は増えるばかりだ。






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