「 願わくはわれ太平洋の橋とならん 」
新渡戸 稲造 ( 農学者、教育者、国際連盟事務次長 )
My wish is to become a bridge over the Pacific.
Inazo Nitobe
その昔、まさに 「 太平洋の架け橋 」 となった偉大な先駆者である。
旧紙幣における 「 5千円札の肖像 」 として、ご存知の方も多いだろう。
日本のためではなく、国際連盟の精神を普及させるために、新渡戸稲造はヨーロッパ各地で講演を重ね、功績は 「 ジュネーブの星 」 と称えられた。
もう一つ、彼の名を世界中に知らしめたのは、全篇を流暢な英文で記した名著 『 武士道 ( Bushido : The Soul of Japan ) 』 である。
アメリカ人の女性を妻とした彼は、日本について様々な質問を受けることが多く、 「 では、本を書いて説明しよう 」 というのが、執筆の動機だった。
農学、法学博士としての該博な知識も駆使し、西洋の人々が理解しやすい例をふんだんに使って、日本固有の武士道精神を見事に解説している。
このような立派な人物を 「 5千円の人 」 としか認識していない人が多いという事実も、日本人の国際感覚が希薄なことへの表れなのかもしれない。
英誌エコノミストの調査部門である EIU は先日、世界121カ国を対象とした 「 平和度指数 」 を初めて発表した。
その結果、1位はノルウェーで、2位がニュージーランド、3位デンマークと続き、日本は主要8カ国 ( G8 ) 中では最高の5位にランクされた。
日本については、第二次大戦後、隣国とは緊張関係があるものの、政治的に安定し、治安が良好な点が評価されたという。
ちなみに他の先進国を比較してみると、イギリスが49位、アメリカが96位、ロシアは118位なので、日本に対する評価がいかに高いかがわかる。
下位では、イスラエルが119位、スーダンが120位、最下位はイラクだが、北朝鮮については 「 データ不足 」 として調査の対象外にされた。
平和国家として認められることは、たしかに誇りともいえるのだが、指数を数値化した根拠について、いささか疑問を感じてしまうところが大きい。
この平和度指数は、各国の犯罪傾向や、軍事費の国内総生産 ( GDP ) 比など全24項目が審査されたが、「 国際貢献度 」 は含まれていない。
つまり、その国自体は平和であっても、国際間の秩序を維持したり、他国の紛争を調停したりした功績が、一切、評価されない仕組みなのである。
他国がどうあっても知らぬ存ぜぬで、いわゆる 「 対岸の火事 」 を眺めている姿勢を 「 平和国家 」 と呼ぶのには、どうも抵抗を感じてしまう。
経済的、軍事的役割が小さい国の場合は、それでも 「 平和のお手本 」 として認められるが、G8 の姿勢としては、別の問題があるように思う。
ユダヤ人が頭の良い民族で、世界各地で多分野にわたり活躍していることは、いまや万人の知るところである。
流浪の民だったユダヤ人は、世界をさまよいながら 「 唯一の財産は知恵と知識 」 という認識を強め、昔から教育に力を注ぐ習慣が備わっている。
特に、語学力については ピカイチ で、二つ以上の言葉をマスターするのは当たり前だし、行った国の言葉をすぐにマスターできる特技がある。
昔、留学中に知り合った友人も、仕事を通じて知り合ったビジネスマンも、頭の良さそうなのは概ねユダヤ系で、すぐに片言の日本語を覚える。
また、「 これを日本語では何と言うの? 」 という質問を投げかけてくることが多いのも、ユダヤ人と交流すれば気付く特徴である。
たまに、「 一つの事柄を、二つの言葉で考える 」 と、一つの言葉だけでは見えないものが見えてくるような気がする場面がある。
ユダヤ人の頭の良さと、バイリンガルでものを考える習慣には、なんらかの因果関係があるように思うし、言語により微妙に言い表せない違いもある。
この日記では、毎夜、冒頭に著名人の名言を引用させてもらっているが、原語と日本語訳 ( 日本人の場合は逆 ) を必ず掲載している。
たとえば、日本人の話す 「 平和 」 と、欧米人の思い描く 「 Peace 」 とは、細部まで同じ意味なのかというと、そうではないようだ。
昔気質の護憲一辺倒な人が減り、日本の国際貢献を気にする人が増えてきたのは結構だが、もう少し日本人は 「 国際化 」 の必要がありそうだ。
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