| 2007年05月23日(水) |
ロシアより悪意をこめて |
「 もしもあなたが、私の足元に ハリネズミ を投げ込み始めたら、
私は ヤマアラシ をあなたの足元に投げつけますから 」
ニキータ・フルシチョフ ( 旧ソ連の政治家、最高指導者 )
If you start throwing hedgehogs under me, I shall throw a couple of porcupines under you.
Nikita Khrushchev
当然、英語にも 「 けんか言葉 」 はあり、上文はその一例だ。
学校では教えないから、ご存知でない方も多いだろう。
概ね、どこの国にも美しい風景や、歴史上の名所、旧跡があって、名画などの優れた美術品、芸術品の数々が大切に保存されている。
それは、その地を訪れる観光客にとって、旅の大きな楽しみであるし、人によっては目的そのものであることも珍しくない。
冷戦時代に一度、モスクワ へ行ってみたいと思ったが、当時、訪米頻度の高かった私は、渡航暦を審査されて ビザ が発給されなかった。
ソ連の崩壊後、誰もが容易に行ける時代となったが、忙しかったり、興味が薄れてしまったりといった理由から、未だ、行ったことがない。
イタリアへ旅した際、夜間飛行の機上から眺めた サンクトペテルブルグ の街灯りも美しかったし、いづれは、かの地を訪れたいと思っている。
冷戦の終結を機に、大きく門戸を開放したロシアだったが、プーチン政権になって再び、国際社会との軋轢が目立ち始めているようだ。
今年の1月、違法移民の規制強化を目的とした 「 新移民法 」 が発令されたが、その影響で大衆にも 「 外国人を敵視 」 するムードが高まっている。
この新法を悪用し、市内を巡回する警察官の間には、外国人旅行客から 「 罰金と称して賄賂を巻き上げる 」 連中も多いらしい。
この問題について抗議したところ、プーチン大統領は 「 政権転覆やテロを目論む外国人がいる 」 と語り、今後も外国人規制を強める姿勢だという。
そんな一連のやりとりから、ロシアでは現在 「 排他的ナショナリズム 」 が盛り上がり、観光客や、駐在中の外国人には注意が必要とされている。
昨年の11月には、ロシアの元情報機関員 リトビネンコ 氏 が、ロンドンで放射性物質を飲まされ、毒殺されるというショッキングな事件があった。
イギリスの検察当局は22日、リトビネンコ 氏 の元同僚でロシア人実業家の ルゴボイ 氏 を容疑者と断定し、殺人罪で起訴すると発表した。
容疑者は現在ロシアに滞在している為、身柄の引渡しを求める姿勢だが、これに対しロシア最高検察庁はこの日、「 拒否 」 の声明を出している。
同氏殺害の背景には、プーチン大統領が大衆からの信頼を大きく失墜させる 「 チェチェン での非人道的行為に関する証拠 」 が絡むという説もある。
そのため、容疑者の身柄引渡しがこじれると、イギリスだけでなく、ロシアと国際社会全体の関係悪化が、避けられない状況へと陥りそうな気配だ。
また、旧ソ連バルト三国の一つ エストニア が、第二次大戦でソ連が勝利した記念像を首都の中心部から郊外へ移転したことで、両国がモメている。
ロシア国内では、これを 「 戦死者への冒涜 」 と批難し、エストニア製品のボイコットや、経済制裁をアピールする声が高まりつつあるらしい。
しかも、エストニアの政府機関や銀行のコンピューター・ネットワーク網が、ロシアからの 「 サイバー攻撃 」 にさらされ、現在、大打撃を受けている。
エストニア外交筋によると、サイバー攻撃は銅像を撤去した日から始まり、一度に大量のアクセスを集中させられ、通信網がダウンしているという。
ロシア側は関与を否定しているが、専門家が調査したところ、この攻撃にはクレムリンやロシア政府の IP アドレス が使われた事実が判明している。
ソ連の崩壊後、ロシアは西側自由社会との協調に努めてきたのだが、そうせざるを得ない事情としては 「 経済の破綻 」 によるところが大きかった。
ここ最近は状況が一変し、天然資源開発などを軸とした好況に支えられ、プーチンの政策に垣間見られる 「 強気の姿勢 」 が目立ち始めた。
冷戦時代に逆行するとは思えないけれど、ことある毎に国際社会と対峙し、強行に周辺諸国を威嚇するような態度には、ある種の不気味さを感じる。
テロ対策と称して外国人の監視を強化し、自らはサイバー・テロを仕掛け、体制固持のために暗殺まで企てているとすれば、これは危険な国家だ。
自由主義陣営の注意が、北朝鮮、中国に集中する最中、さらなる強大な 「 軍事的脅威 」 として、ロシアが再浮上しつつあることは間違いない。
|