Tonight 今夜の気分
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2006年01月22日(日) 米国産牛肉が危険と言えるほど、我々の生活は安全か



「 非の打ち所がないほどうまくなるまで待つなら、

  人は何もしないだろう 」

                  ジョン・H・ニューマン ( イギリスの神学者 )

A man would do nothing if he waited until he could do it so well that no one could find fault.

                             JOHN H.NEWMAN



冒頭の言葉は、「 何も行動しないことの愚かさ 」 を指している。

批判ばかりで、自分から何も行動しない人間は、世の役に立たない。


企業でも、どこでも、「 やらない、やれない 」 原因ばかりを探して、とにかく問題を先送りにしようとか、積極的に動かない人間がいる。

世の中には 「 絶対に安全 」 といった状況のほうが珍しく、大半は何らかのリスクを負って何かを手に入れる仕組みになっているはずだ。

ところが、ほんの僅かでも不安要素があると、過剰に反応して、危険だから近づかないほうがいいと、女々しく騒ぎ立てる連中がいる。

過保護に育てられたり、身体面、精神面のコンプレックスが強かったりするタイプに多いが、とかく世の中にとっては迷惑な存在となる。

本来、危険の警告とは、リスクと効果の両面を判断して行われるべきだが、わけもなく騒ぎ立てるのは、単なる狂人の所業である。


米国産牛肉の輸入が再開されたが、その一部から 「 脊柱 ( 背骨 ) 」 の付いた状態のものが見つかり、再び禁輸が長期化する可能性が出てきた。

背骨は脳などと同じく、狂牛病問題で 「 特定危険部位 」 に指定される個所であり、それを含むと、日本向けの輸出基準に抵触する。

これは明らかに貿易協定に違反しているのだから、農林水産省や外務省が、アメリカ側に対して激しく抗議したのは当然の対処である。

約束通りに特定危険部位の除去をするか、あるいは日本側の輸入条件 ( 基準 ) が変更されないかぎり、輸入を再開するわけにはいかない。

それを黙認するなどということは、国の面子にも関わる非常事態だ。


しかしながら、だからといって今回輸入された牛肉が 「 特に危険 」 なものだとは思えないし、それを食べた人間が死ぬ確立は、ほぼ 0% だろう。

大事なのはこの点で、「 特定危険部位の含まれた牛肉 」 を、さも 「 狂牛病に感染した牛肉 」 であるかのように、同列に捉えるのは愚の骨頂である。

実際のところ、アメリカの畜産事業者が、背骨の付いた牛肉を日本向けに輸出するのはNGでも、アメリカ国内で販売することには何の問題も無い。

貿易上は差し障りがあるけれど、誰もが有害で危険と承知している食品を輸出しようとしたわけではないことを、きちんと把握しておくべきである。

つい最近も、私はアメリカ国内で牛肉をたらふく食べたが、ちょっとお腹が出たくらいで、現在も、おそらく将来も、それで病気になりそうにはない。


もちろん、「 まったく心配がない 」 わけではない。

ごく僅かな確率だが、アメリカの 「 骨付き肉 」 を食べた日本人が、BSEに発病して死に至るケースもあり得るだろう。

もし、過去に起きた集団食中毒などの 「 食品が原因とされる死亡事故 」 と同じように、社会を震撼させる事態を引き起こすのなら大問題だ。

しかし、現時点までの研究結果や、あるいは実際の人的被害件数などから鑑みて、それほど 「 現実的な危険が認められない 」 のも事実である。

つまり、可能性として 0 ではないけれど、今すぐアメリカの牛肉を食べたからといって、病気になったり、あるいは死に至るとは考え難いはずだ。


先に述べた通り、「 契約上、違反している 」 という意味では、今回の骨付き牛肉が含まれた件に関して、アメリカに強くクレームを申し入れるべきだ。

しかしながら、農林水産省は 「 危険を水際でせきとめた 」 ような表現を避けるべきだし、マスコミも冷静に対処するほうが望ましい。

元々、そこには 「 危険 」 など無かった可能性のほうが圧倒的に高いのだから、鬼の首をとったようにまで訴える必要はまったくない。

アメリカに 「 骨付き牛肉を輸出しやがって、日本人を殺すつもりか 」 などと、幼稚園児レベルで激昂しても、恥を晒して嘲笑されるだけである。

それこそ、首相が神社に参拝しただけで、「 お前らはまた軍備を拡張して、世界を相手に戦争するつもりだな 」 と愚弄する連中と同じ次元だ。


国民を死なせたくないなら、交通事故の死傷者を減らしたり、人格障害者による犯罪を防いだり、自殺者を減らす工夫をするほうが優先課題だ。

なぜならば、それらが原因で死ぬ人間の数は 「 BSEによる死傷者 」 よりも圧倒的に多いからで、誰にでもわかる当たり前の話だ。

けして少ないから放置してよいというわけではないが、現時点で 「 それほど大問題とはいえない 」 のは明白な事実である。

財布からお金がこぼれ落ちたとき、大量の一万円札が風に舞って飛散しているのに、必死で一円玉を追いかけていくのも馬鹿げた話だ。

どうでもいい問題とはいわないが、アメリカから牛肉を輸入することに関する危険性など、せいぜい、いまの日本にとっては 「 一円玉 」 である。


食品に安全性を求めたい気持ちはよくわかるが、さしてアメリカの牛肉だけがことさらに危険だとは、まったく根拠のない話である。

それを大げさに批判するのは、左翼系メディア、反資本主義的思想の持ち主か、強大国に対して批判的な、歪んだ負け犬根性の持ち主などである。

彼らの弁によると、片方では 「 アメリカは人種差別をするので、日本人の命など軽視する 」 から、そんな国から牛肉を仕入れるのは危険だという。

そして一方では、自らが差別的な表現で 「 アメリカ人は馬鹿だから何でも食うが、日本人は賢いので慎重である 」 というような発言も行っている。

いまどきの平均的なアメリカ人は、このような差別的発言を好まないし、とてもじゃないが肯定できない意見で、単なる 「 アメリカ嫌い 」 であろう。


アメリカの言いなりになる必要などないし、日本の望む輸入条件を徹底的に申し入れ、価格や鮮度などについても、厳しく交渉すればよい。

しかしながら、「 お前らの牛肉は危険だから食えない 」 などという子供じみた難癖は、嘲笑の的にされるばかりか、お互いの関係を悪くするだけだ。

日本の食料自給率を思えば、「 食べ物を分けてくれる国 」 に対して、明白な根拠もない言いがかりをつけられる立場ではない。

その点など十分に考慮して、「 やみくもに禁輸するだけではなく、どのように早期再開するか 」 を、関係各署は素早く対応してもらいたい。

これからの世の中、あれも危険、これも危険などと言っていたら、そのうち食べられるものなど無くなってしまうのではないかと、そのほうが気になる。






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