「 歴史は途方もなく大きな早期警報システムである 」
ノーマン・カズンズ ( アメリカの雑誌編集者、著述家 )
History is a vast early warning system.
NORMAN COUSINS
日本人でノーマン・カズンズをご存知の方は、おそらく少ないと思う。
しかし彼自身は、とても日本に関心を持ち続けた人物なのである。
彼は 『 サタデー・レビュー 』 の編集者として35年間にわたり、芸術および社会的な関心事を読者に広めた。
1949年に広島を訪れ、衝撃的体験を基に 『 4年後のヒロシマ 』 を発表し、それを契機に原爆で家族を失った子供たちをサポートする運動を始める。
1964年には 「 広島市特別名誉市民 」 の称号を受けたが、現在も広島の平和記念公園に行くと彼の記念碑がある。
教育的、人道主義的、かつ世界平和への自発的な取り組みを訴えかけた人物で、まさに 「 ジャーナリストの鑑 」 として、偉大な足跡を残した。
彼が後世に遺した言葉として、冒頭の名言を心に留めていただきたい。
11年前の1月17日未明、私は、当時住んでいたマンションに大型トラックか何かが衝突したのかと思って、ただならぬ衝撃に身構えた。
実際には、それが 「 阪神大震災 」 の第一波であったが、過去に経験したことのない揺れのため、すぐに地震だと判断することができなかったのだ。
しかも、厳しい寒風が吹きすさぶ1月の未明である。
肉体と脳を覚醒させ、明確に事態を把握し、的確な行動に移せるまでに、かなりの時間を必要とした。
おそらく、運悪く建物の下敷きになった方々の中には、それが大型の地震による被害だったことさえ、気付かずに亡くなられた方もいらしただろう。
11年経った同じ日、耐震データ偽装問題でヒューザーの小嶋社長が証人喚問を受け、大方の予想通り、歯切れの悪い答弁が行われた。
倒壊した住宅から、あれだけ多くの犠牲者を出し、「 ある日突然、自分たちの住む住宅が凶器にもなり得る 」 という教訓は、既に忘れ去られたのか。
あるいは、そのリスクを負ってでも、目先の利益を優先する必要に迫られていたのか、そのあたりは当事者に真意を伺いたいものである。
ちなみに、12年前の同じ日には サンフランシスコ で大地震が起きており、この1月17日という日は、まさに地震の厄日だといえる。
内閣府もこの日を 「 防災とボランティアの日 」 と定めており、耐震偽装のみならず、皆が改めて防災を見直す習慣付けになれば望ましいと思う。
地球上に棲む多くの生物が、絶滅から身を守り、環境に適合するために、進化・成長したり、あるいは生き残るための知恵を会得してきた。
その歴史や経緯を解き明かし、真相を知る唯一の存在であるはずの人類は、他の生物以上に、そこから何かを学び、正しい進化を遂げたのか。
賢者は学び改めるが、愚者が改めないために 「 同じミスが起きる 」 というのでは、この惑星の支配者を名乗る割に、なんとも情けない話だ。
阪神大震災の教訓を活かすためにも、違法建築に携わった連中を追求し、断固として許さないという明確な意思表示を、我々は示すべきだろう。
誰もが 「 警報 」 を聞いたはずなのに、他人事だと思って平気な顔でいるようでは、将来が不安だし、過去や歴史に顔向けができない。
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