「 何事も小さな仕事に分けてしまえば、特に難しいことなどない 」
レイ・クロック ( マクドナルドの創立者 )
Nothing is particularly hard if you divide it into small jobs.
RAY KROC
マクドナルドの世界戦略は、1967年から始まった。
日本進出は71年で、いまや世界119の国と地域に展開されている。
大型チェーン店にとって最大の利点は、「 スケール・メリット 」 にある。
たとえば原料を仕入れる際に、一度に多店舗分を大量に買い付けるので、大幅なコストダウンが可能になることも多い。
社員の配置転換もでき、人的資源の有効活用も達せられる。
一度の広告で宣伝効果が全店に波及するし、また、店舗の存在そのものが広告効果となり、知名度の向上をたやすく行える。
それ以外にも、長所を数え上げるとキリが無いほど、とにかく利点が多い。
机上論で語ると短所は少ないが、実際には 「 落とし穴 」 もある。
たとえば、単独店舗なら絶対に 「 やらない 」 あるいは 「 できない 」 ようなずさんな経営を、「 やってしまう 」 ことがある。
会社全体が利益を出していることに甘え、市場占有率を高めるだけの目的で不採算店舗を出したり、つい 「 儲からない商売 」 に手を出すこともある。
店舗数が増え、企業規模が大きくなってくると、全体的な売上にばかり目が向いて、それぞれの店の収益管理が疎かになるケースも多い。
また、組織の大型化が進むと、「 経営者の理念 」 が末端に届き難くなる。
産業再生機構の支援を受けて、再建を目指す 「 ダイエー 」 の事業支援を行うスポンサーには、商社の 「 丸紅 」 を中心とするグループが内定した。
今後、「 新しい経営者に誰を置くか 」 などの点に、関心が集まるだろう。
専業ではないし、別の手腕が要求されるけれども、フジテレビの買収問題で騒がれている 「 堀江氏 」 など、ここで起用すると面白いような気もする。
誰がやるにしても、当面の課題は 「 不採算店舗の圧縮 」 になるはずだ。
単独で評価すると儲かっている店舗もあり、全体の 「 足を引っ張る 」 部分を削減することが、最もてっとりばやい再建策である。
大きくなりすぎた企業の病巣は、意外と細かいところにあることも多い。
すべての店舗が、わずかでも黒字にさえなっていれば収支は 「 プラス 」 に転じるはずで、それぞれの店舗の状況に細かく目を配る必要がある。
昔から、「 木を見て森見ず 」 という言葉もあって、企業全体の事情を考えることも間違ってはいないが、いまのダイエーは、そういう局面にない。
それぞれの店舗で、「 自分たちが地道に利益を出すことが、全体を救う 」 のだということを認識し、「 商売の原点に還る 」 ことが重要となる。
新生ダイエーの再起に期待し、エールを贈りたい。
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