Tonight 今夜の気分
去るものは追わず、来るものは少し選んで …

2004年12月14日(火) 荒療治の是非



「 この世に存在する一切のものに、不要なものなどなにもない 」

                       松下 幸之助 ( 松下電器創業者 )

Nothing that exists in this world is unnecessary.

                       KOUNOSUKE MATSUSHITA



もしも 「 経営の神様 」 が生きていたら、この不況をどう乗り切っただろう。

彼が遺した名言の数々は、挑戦する意欲への 「 無限の広がり 」 がある。


冒頭の言葉だが、本当は、幸之助翁は 「 もの 」 ではなく 「 人 」 のことを言いたかったのではないかという気がする。

世の中には、金持ち、貧乏人、元気な人、病弱な人、仕事のできる人、できない人、賢い人、物覚えが悪い人など、さまざまな人がいる。

いないのは、「 生まれてこなければよかった人 」 である。

もちろん、凶悪な犯罪を実行し 「 死刑 」 を言い渡される例や、人質の生命が危険に晒されているので 「 射殺 」 される例などもあるだろう。

しかしそれは、もともと 「 生まれてこなければよかった 」 わけではなくて、価値ある人生を棒に振り、無駄にした愚かな責任の所為である。


最近、新しい仕事を始めた関係で、いろいろな経歴の人に会うことが多い。

その中に 「 カウンセラー 」 という資格を持っている人や、これから取得しようとする人たちがいて、なかには、私にまで取得を奨められる。

精神科の医師と同じように、ビジネスマンの悩みを聞いたり、効果的なアドバイスをしたりすることが仕事なのだが、これがなかなか大変なのである。

私も、過去に多くの部下を育てた経験はあるが、その場合 「 脱落者 」 や、「落伍者 」 を出したとしても、それは本人の問題として片付けられた。

彼ら 「 カウンセラー 」 たちは、脱落者を出さないばかりか、場合によっては 「 脱落者のみ 」 を対象にして指導する立場にいる。


もう少し年をとって、柔和な人格に変われば話も別だが、いまのところ私には 「 カウンセラー 」 などという仕事ができそうにない。

取得を奨める人も多いのだが、相手が間違った主張を繰り広げるのに対して 「 なるほどね 」 などと悠長に相槌を打てる性分ではないのだ。

彼らが特に気を遣うのが 「 うつ病患者 」 で、精神科と違う点は、ただ休養を取らせるだけでなく、働く意欲を与えたりしなければならない。

当然、「 頑張れ 」、「 根性を出せ 」 はタブーで、やんわりと、相手を褒めちぎりながら、自信を回復させることに努めておられる。

話を聞いているだけで 「 イライラ 」 してしまう私には、とうてい無理な作業であり、いくら仕事といえども、やる気の起こらない話である。


病人を責めても仕方のない話かもしれないが、甘やかすことが 「 治療 」 になっているとも思えない。

もちろん、ある程度は 「 回復 」 までのプロセスとして、慈愛をかけることが必要とは思うが、カウンセラーの努力にも限界はある。

ひとたび外に出れば、厳しい世の中の現実というものがあり、すべての人々がカウンセラーではないのだから、優しくばかりもしてくれないだろう。

彼らを 「 癒す 」 立場の人間がいても、彼らに 「 弾力性 」 や 「 強靭さ 」 を植え付ける人間がいなければ、たちまち窮地に追い込まれる。

悪気がなくても、「 頑張れ 」 ぐらいは普通の会話において発するわけだし、それを 「 言った奴が悪い 」 という論理など、まったく通用しない。


当時はまだ、今ほど 「 うつ病 」 が深刻な社会問題ではなかったけれども、思い起こすと部下の中に、それらしき人物がいた記憶がある。

責めても、誉めても、やる気が起こらない様子で、しまいには 「 死にたい 」 とまで呟く始末なので、かなり手を焼いたものだ。

ほとんど特別扱いはしなかったが、仕事が残ってたら一緒に残業を手伝い、その後は 「 可愛い子ちゃん 」 がいるラウンジで朝まで騒いだりした。

で、酔ったフリをして、ときどき首を絞めて 「 死ぬか 」 と聞くと、「 グヘぇ、助けてくだちゃい 」 と情けない声を出し、笑わせてくれた。

朝の4時まで残業したこともあったが、おかげで 「 優秀部門賞 」 も獲得でき、お互いに給料も上がった頃、病気の影など失せていた。


あのとき、彼が 「 死にたい、やる気がない 」 と言ったときに、私は 「 なるほどね 」 とか、「 無理しないでね 」 と言えばよかったのか。

医者は反論するかもしれないが、私はそうは思わない。

彼らに同調する言葉をかけても、それは 「 裸の王様 」 と同じで、皆が気を遣って 「 本当のこと 」 を言ってないだけである。

誰かが悪者になってでも、「 おまえ、裸やんけ 」 と言わなければ、本人は馬鹿にされっぱなし、恥のかきっぱなしではないのか。

元来、プライドの高い御仁が多いのだから、それが 「 カッコ悪い 」 のだと気づけば、なんとか努力して立ち直ろうともするはずである。


けして彼らも、「 生まれてこなければよかった 」 ような人間ではない。

ただ、このままでは周囲に迷惑をかけ、厄介な存在でしかない立場に、自分自身を追い込んでしまう危険が大きい。

彼らの 「 治療 」 を阻んでいるのは、誰あろう 「 同情的な偽善者 」 たちであり、裸の王様に媚びへつらう従者たちである。

それが 「 うつ病 」 であろうが、「 癌 」 であろうが、「 痔 」 であろうが、病人は 「 自分が病気であること 」 を素直に認め、治療に励まねばならない。

今の世の中は、なぜか 「 うつ病 」 に対して美化する風潮が強く、一部の患者はそれを勲章のように掲げ、世間に甘えようとする。


WEB日記の管理人にも、そういう人がいる。

以前、そのことで 「 個人を中傷した 」 と思われたようだが、特定の人物にかぎらず、数限りなく、まるで珍しいことでもない。

だから、「 誰が 」 ということでなく、そういう方々に忠告したい。

いくら 「 小泉が狂ってる 」、「 ブッシュはアホだ 」 とわめきちらしても、医者からお墨付きの 「 病人 」 はどちらなのか、読む人は知っているのだ。

誰にでも、ただ 「 存在する 」 だけでなく、「 幸せに生きる権利 」 があるし、そのための努力が必要なのだから、その方向に注力すべしである。


( 本日のおさらい )

「 精神疾患は、周囲に甘えているだけでは回復しない 」






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