Tonight 今夜の気分
去るものは追わず、来るものは少し選んで …

2004年12月08日(水) 「 法 」 でも 「 善 」 でもなく


「 人々の善が最高の法律である 」

                   キケロ ( 古代ローマの雄弁家、哲学者 )

The good of the people is the greatest law.

                                     CICERO



さらっと流し読めば見過ごしがちだが、なかなか複雑な論理である。

なぜならば、何が 「 善 」 か、「 法 」 か、を見極めることが難しいからだ。


大国への対抗手段として卑劣なテロや誘拐を繰り返す連中に 「 善 」 などなく、当然、そんな自分勝手な理屈が最高の法律では在り得ない。

それを鎮めるため、強大な軍事力で制圧しようとすることも、他に解決する方法がないといえばそうなのだが、けして 「 善 」 ではない。

他人事さと、そ知らぬ顔をしている別の大国にも 「 善 」 はなく、後方支援をせざるを得ない同盟国も 「 最善手 」 ではあるが 「 善意 」 ではない。

どうすれば世界の平和が保たれるか考えようともしないで、最悪の輩を支持するかのごとく、大国のやり方を批判するヒネクレ者も 「 善 」 ではない。

以上、イラク戦争を例に挙げても、どこにも 「 善 」 など見当たらない。


大事なことは、「 何が善か 」、「 何が法か 」 ではないような気がする。

改憲の論議をみてもわかるように、いつの間にやら 「 法の精神 」 よりも、「 法そのもの 」 を重んじるような風潮ができてしまった。

賛成する側にも、反対する側も、お互いを罵る悪意ばかりが目立ち、大声を張り上げている連中の顔からは、いづれも 「 善 」 など窺えない。

これは、私自身もおおいに反省すべき点で、冷静に最近の日記を読み返してみると、どうも 「 論点がずれてきている 」 ような印象を受ける。

個人的には、そこに 「 善 」 が無いのなら、せめて 「 義 」 だとか、「 志 」 のようなものを求めたいのだが、それらを論点にする時代ではないようだ。


とまぁ、哲学的な 「 前フリ 」 から始めてみたが、すべてはこれから書くことの 「 言い訳 」 で、今夜はまるっきり 「 柔らかい話 」 である。

ただ、「 柔らかい話 」 とは言っても、ちょいと悩んでいることでもある。

つまりそれは、きわめて個人的な問題であって、天下国家の話でもなければ、人々に夢や感動を与える話でも、お得な儲け話でもない。

他人様には 「 どーでもいい 」 ような、中年男の恋の話である。

なかには、「 おっ、久しぶりッ! 」 と興味を示された古くからの読者もいらっしゃるだろうが、興味のない人は、ここで読み終えてもらって差し支えない。


私の好きな 「 ジェフリー・アーチャー 」 という作家は、短編集 → 中篇 → 大長編 といったふうに、書く順番にリズムを持っているのが特徴だ。

私の恋愛もそれに似ており、ちょいとした付き合い → 山あり谷ありの付き合い → 結婚まで考えるマジな付き合い といった順に、妙なリズムがある。

モールス信号でいうなら 「 ツー 」 のあとに 「 トン 」 があり、「 ツーツー 」 ときて、「 ツー 」、「 トン 」 みたいな感じだ。

なんだかよくわからない話かもしれないが、それが実態である。

最近の数年間を振り返ると、「 ツーツー、ツー、トン、ツー、トン、トン、トン、トン、ツーツー、トン 」 といったところか。


私は、恋愛は仕事と違って 「 経験が蓄積しないもの 」 と捉えている。

他人からみたら 「 似たりよったり 」 でも、その都度、新しい気持ちで対応しているし、「 今回は簡単な仕事だ 」 などと、ナメてかかったことも無い。

だから、「 ツーツー 」 であろうが、「 トン 」 であろうが、毎回、真摯な気持ちで挑戦者の立場に構え、持てる技術のすべてを出し惜しみしない。

それで、駄目なものは駄目で仕方ないし、「 縁 」 とか 「 相性 」 の問題でもあるので、あんまりクヨクヨしたり、打ち明ける前に悩むことも少ない。

少々、痛い目に遭ったとしても、「 二十年前の二日酔い 」 みたいなもので、また性懲りも無く、年甲斐もなく、異性に惹かれてしまうのである。


軽薄と言われればそれまでだが、あまり最初から 「 命がけの恋 」 だとか、「 運命を感じる恋 」 とは思わなくて、ただなんとなく好きになることが多い。

また、「 三角関係 」 だとか、どろどろした恋愛は苦手なので、不倫だとか、「 好きになってはいけない相手 」 に惚れたりすることも少ない。

だから、自堕落かもしれないが、自由きままにやってこれたし、夜も眠れないほどに悩んだり、落ち込んだりもしない代わりに、長続きもしなかった。

統計学的に考えて、わざわざ 「 好きになってはいけない相手 」 なぞ選ばなくても、代わりの異性はいくらでもいるわけで、あまり意味も無い。

ネット友達で、「 北陸地区、不倫撲滅委員会 」 の会長でもある 「 U さん 」 の反感を買うのも嫌だし、罪のない、軽い恋愛を心がけてきた。


で、いま 「 悩んでいる 」 のである。

いまのところ 「 軽はずみな言動 」 は謹んでいるし、何があったというわけでもないのだが、胸のモールスが 「 ツーツー 」 鳴りっぱなしである。

外見だけではなく、性格的にも相性が抜群で、一緒にいると時間を忘れるし、遭う度に 「 他人さんが見れば、明らかに恋人同士 」 の図柄に近づく。

もちろん 「 こちらの思い過ごし 」 である可能性も無くはないが、あと一歩、踏み出してしまえば、たぶん 「 U さん の敵 」 になりそうな雰囲気だ。

しかも、ちょっとした事情で頻繁に会わざるを得ない機会が増えており、嫌でも ( 嫌じゃないけど ) 会わないわけにはいかない関係にある。


それでも、この話が 「 進展 」 することはないだろう。

私は 「 善 」 でもないし、「 法 」 の守護者でもないけれど、幸いなことに 「 臆病な小心者 」 だし、身のほどぐらいはわきまえているつもりだ。

自分がハッピーに過ごすためには努力するが、誰かを不幸にすることなど好まないし、好きな相手に 「 裏切り者 」 の汚名を着せたくもない。

彼女を嫌いになろうと努めるのではなく、お互いに競い合い、助け合う姿勢に徹することで、「 法 」 に関わらず、距離と関係を保ちたいと思う。

大事なことは 「 法 」 ではなく、相手の立場を認め、敬い、思いやる気持ちであり、きっと、神様はそんな私に 「 別のご褒美 」 をくださるだろう。


( 本日のおさらい )

「 ちっぽけな男のやせ我慢と、強がりは、最低限の “ プライド ” です 」






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