Tonight 今夜の気分
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2004年08月10日(火) 最近、お気の毒な人々


なにか事件が起きると、「 あおりを食う人 」 が現れやすい。

彼らにとっては、自分の責任でない場合が多く、可哀想なものである。


このところ 「 NHKの不祥事 」 が次々と明るみに出てきており、国民からの信頼が失墜しているようだ。

その 「 あおりを食う形 」 で困っているのが、「 受信料の徴収スタッフ 」 で、実際、かなりの割合で徴収率が落ちているのだという。

以前から、NHKの受信料については不明瞭な点があり、払わない人も多かったはずだが、過去に払っていた人からも、徴収が難しくなっている。

徴収に行くと、「 なんでNHKの職員の 『 飲み食いの費用 』 を、払わなきゃならないんだ 」 と怒鳴られ、返す言葉もないという場面も多いらしい。

徴収する彼らは、さほど高くもない賃金で走らされ、「 横領した高給者 」 の尻拭いをさせられているのだから、実に気の毒な話である。


ちなみに私は、過去に一度も 「 NHKの受信料 」 を払ったことがない。

だから、一連の不祥事に対して、「 良くないことだね 」 とは思うが、語気を荒げて断罪したりしないし、もちろん 「 金返せ 」 などと言う資格もない。

私なんぞは、「 払う理由が理解できない 」 金品を支払う余裕など無いが、大半の日本人は、なんだかんだ言っても 「 お金持ち 」 なんだなぁと思う。

けして、「 払えない金額 」 でもないし、「 払いたくない 」 わけでもないのだが、私が納得できないのは、「 徴収方法 」 と 「 徴収理由 」 にある。

その問題さえクリアーされれば、すぐにでも支払う意思はあるのだが、現行の制度には、どうしても納得することができないのだ。


NHKから受信料の徴収スタッフが我が家に訪ねて来られると、私は丁寧にお迎えし、毎回、いつも同じやりとりが繰り返される。

徴収スタッフは私に、「 NHKの受信料を支払うのは、国民の義務であり、法律で定められていること 」 だということを、しきりに説明される。

それに対し私は、いつも 「 その通り! 」 と相槌を打ち、大いに賛成する。

相手の方は嬉しそうに頷き、「 では、こちらの金額を 」 と書類を出す。

私は、「 いやいや、それが払うわけにはいかないんですよ 」 と答える。


現在、NHKの受信料を支払っている人の割合は、徴収対象の7割以下であるが、NHKの歳入と歳費を比べると、毎年 「 黒字 」 になっている。

私が、「 国民には受信料を支払う義務があるが、だからこそ、いま私が払うわけにはいかない 」 と述べる理由は、この部分にあるのだ。

理屈をわかりやすくするために、以下の 「 例え話 」 を挙げてみる。

あるところに人口100人の村があり、村のための事業に600万円のお金が必要となったので、村人全員から徴収することに決まった。

一人あたりの費用は、「 600万 ÷ 100 」 なので、6万円になる。


村会議員の一人は、「 皆が公平に間違いなく支払われるように、それは税金で徴収することにしよう 」 と発言したのだが、村長は別の提案をした。

それは、「 600万の費用を徴収する係員を100万円で雇い、合計 『 700万円 ÷ 100 = 7万円 』 を、各家庭に訪問し、徴収する 」 という意見だ。

また、「 もし、支払わない人がいた場合には、罰則規定を設けず、払う意思のある人から、余分にもらいましょう 」 という指示が、つけ加えられた。

結果、3割にあたる30人が支払いを拒んだため、残りの70人が 「 700万 ÷ 70 = 10万円 」 を支払うことになった。

支払った彼らは、本来なら 「 一人あたり6万円 」 で済む費用を、4万円も多い 「 10万円 」 を、支払うことになったわけである。


電気代、ガス代、水道代などの公共料金と違って、「 利用しようが、しまいが、全員から徴収する 」 というスタンスなら、税金でよいではないか。

今後も、「 払わない人が悪いのだから、費用をかけ、人を雇ってでも、支払う人を増やしていきましょう 」 という方針では、無駄が多いだけである。

仮に、「 ミナミの帝王 」 のような凄い徴収人が現れたとしても、いつまでも 「 支払い率100% 」 に達する可能性は皆無で、不公平感は残る。

ここで私が支払ってしまうことは、「 現行の徴収制度を認める 」 ということになり、けして、「 良心的に支払っている人々 」 の救いにはならない。

だから、「 私としては、払いたくてしょうがないのに、払えないのですよ 」 という無念を徴収人に語り、徴収制度の改革を訴えるのである。


すると、「 税金で徴収すると、生活の苦しい人が云々 」 といった応酬話法を ( マニュアル通りに ) 用いてくるのだが、それは苦しい言い訳である。

他の税金だって、生活水準に応じて減額できたり、控除される方策が採られているのだから、「 税金徴収に切り替えられない 」 理由にはならない。

それ以外にも、なんだかんだ言って ( マニュアル通りに ) 正当化しようとしてくるのだが、どの点を取り上げても、言い返せるだけの矛盾がある。

そもそも、ディベートの達人ならともかく、薄いマニュアルを手渡されただけの素人が、この私に 「 理屈で勝てる 」 わけなどない。

NHKも、そこのところは理解しているようで、だいたい徴収人は、言い負かすのが気の毒になるような、ご老人などを起用してくることが多い。


わずかな金額ではあるけれど、「 理屈に合わない費用 」 を払わされるのは嫌なもので、それを 「 ケチだ 」 と思われるのなら、それも仕方がない。

私の好きな、古い映画だとか、懐かしい 「 1960年代アメリカのテレビ番組 」 などを集中的に流してくれるケーブルテレビになら、何倍もの費用も払う。

特にNHKの場合は、「 スポンサーで成立している民放 」 には真似の出来ない番組づくりを期待しているのに、そのような番組が意外と少ない。

また、「 今回の不祥事 」 などが起きると、前述の 「 不自然な徴収方法 」 にも、何らかの利権が絡んでいるのでは・・・などという邪推もしてしまう。

いづれにせよ、徴収する人には気の毒だが、私以外にも、何らかの理由で受信料を支払わないという人は、増えていく傾向にあるだろうと思う。






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