吉野家で牛丼が食べれない故に、傷害事件まで起きているという。
ニュースでも頻繁に取り上げられるほど、世間の関心は高いようだ。
私自身は、昔から 「 汁気が多い 」 ので好まないが、それでも一度や二度は食べた経験があり、あのポピュラーな商品が消えるとは思わなかった。
あの 「 安い、早い、美味い 」 というキャッチコピーは、なかなか秀逸であると思うし、低予算で外食できる独特のサービスは、社会的貢献度が高い。
丼物の中でも牛丼は、親子丼みたいに卵でとじなくてもいいし、家庭で作るには簡単なものだが、外食で安く食べられたところに意義がある。
牛丼チェーンの大半は、別メニューで対応するなどの方策をとっているが、付加価値をつけて高く売る手法では、従来の業績をカバーし難いだろう。
彼らの競合は、おそらく普通の外食産業などではなくて、コンビニの弁当や、カップ麺などの 「 低価格食品 」 ではないかと思う。
普段からほとんど食さないので、私自身は牛丼を扱う店舗がなくなっても、まるで不自由を感じないのだが、ヘビーユーザーには深刻だそうである。
それは、経済的な問題のみならず、「 あの味 」 に中毒症状を感じるほどのファンにとってみれば、「 高くても牛丼を食わせろ 」 という訴えに発展する。
現実に吉野家では、中央競馬場内の店舗など、一部の店舗に限って牛丼の販売を継続しているらしいが、遠方から駆けつける顧客で賑わっている。
味覚は人それぞれなので、私のように 「 汁気が多いから苦手 」 という人もいれば、逆に 「 通常よりも汁を多めにして 」 などと頼む人もいるそうだ。
いづれにしても、これだけの騒動に発展し、改めて牛丼チェーンが深く社会に浸透していたという事実に気づき、なかなかに感慨深いものがある。
今回の騒動に至った原因だが、もちろん米国産の牛肉に BSE の危険があると判断した役所の 「 輸入停止措置 」 にある。
私自身、つい最近も米国内で 「 アメリカ産とおぼしき牛肉 」 を食べてきたが、いたって健康であり、いまのところ何の異常も感じられない。
私の知るかぎり、現地で 「 BSE が怖いから牛肉を食べない 」 という動きもなかった様子だし、少なくとも日本みたいには騒がれていないようだ。
食品の安全性に配慮することは重要だが、今回の一件では少し 「 過剰に反応しすぎている 」 という気がしないでもない。
鶏肉も 「 インフルエンザ 」 の心配があるということで情報が錯綜し、一部地域からの輸入が停止された状況にあるが、今後どうなっていくのだろう。
政府は、アメリカ産牛肉を輸入停止解除する条件に 「 全頭検査 」 を挙げているらしいが、手間の割に効果的な方策といえるのだろうか。
私が米国側の交渉者なら、「 この前まで食べてたけど、一人も犠牲者が出てないじゃん 」 という事実をもって、抗議するような気がする。
まぁ、犠牲者が出てからでは遅すぎるというのも、もっともな考えではあるけれど、貿易の規模から考えると、慎重すぎるのもいかがなものか。
このあたりの判断や、考え方ひとつをとっても、日本という国は国際的評価や、グローバルな規範というものに従う意思が弱く、どこか孤立している。
それは、良いとも、悪いともいえないのだが、外からみれば 「 変わった国 」 だという印象につながっていることは、間違いないだろう。
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