「 すべてのものの鍵は忍耐である。
卵をつぶすのではなく、卵をかえしてこそ、ひよこは得られる 」
: エレン・グラスゴー ( アメリカの作家 )
The key to everything is patience. You get the chicken by hatching the eggs - not by smashing them.
: ELLEN GLASGOW
新年、あけましておめでとうございます。
本年も、よろしくお付き合いの程、お願い申し上げます。
昨年の元旦は、「 平和と繁栄 」 について願ったが、世界的な不況の傾向はさほど緩和されず、平和に至っては、もってのほかという結果に終った。
かといって、すべての人間や、世間を憎むことはない。
世の中を悪くしているのは、一握りの悪党と、諸悪の根源を見極めることのできぬ 「 偏向的な 」 愚か者の一団ぐらいである。
私の知るかぎり、洋の東西をとわず、人類の大半は良識的な尺度を持ち合わせた個人で構成されており、未来は暗いものでもない。
厳しい時代だからこそ、希望を捨てず、オツムの怪しい連中による愚痴や、まことしやかな批難には耳を貸さないことが、肝要ではないかと思う。
特に日本人の場合は、なにかしら体制を批判したり、やたらと平和を叫んでみたりすることが恰好良いような風潮が強い ( 戦後日本の話 )。
もちろん、平和を重視することも、政府の施策を監視することも大事な作業だが、論拠も無く、それに酔っているだけの集団が目立って多い。
年端のいかない teen-ager 以外で、恥かしげも無くそんな稚拙な話のできる人間は海外の知人にはおらず、私の周囲では日本人だけである。
大人は、「 平和をはじめ全てのものは、それを求めるだけでは得られぬ 」 ということを知っていて、具体性の有る施策を支持するものだ。
現実にはその通りでないかもしれないが、そうあってほしいと願う。
日本人にアホな思想がはびこるのには、複合的な原因が考えられる。
一つは、富国強兵を誇った日本が敗戦国となり、近隣諸国からの監視が強まる中、愛国心や、ベクトルの統合化を排除される憂き目にあったこと。
ファシストのような愛国心は必要ないが、周囲を武装した集団に囲まれた中を丸腰で歩く環境の中、生き残る術は卑屈さと、従属に変わった。
また、規律を守れない者、心身の健全さに劣る者、怠け者にとって、「 自由と平和の精神 」 は、悪い意味で 「 居心地の良さ 」 につながってしまった。
戦前の様子を知らないし、懐古するつもりもないが、良い悪いではなくて、強い弱いという尺度で判断すると、弱体化したことは否めないだろう。
二つ目は、マスコミの功罪である。
戦時中、各新聞が政府軍部のご用機関に成り下がった遺恨からか、日本の報道機関というものは、民意に対して主導権を持ちたがる。
その洗脳ぶりは、戦前に軍部が民間人に行ったものや、得たいの知れぬ新興宗教が信者に行ったもの以上に、長く強く続けられてきた。
自分は洗脳されていないと否定する人も多いが、かくいう私自身も海外での生活をはじめて、やっと気づく驚きというものを、何度も体験している。
この国で、こんなテレビを観て、こんな新聞を読み、こんな学校教育を受けていただけでは、気にならない 「 意識の欠如 」 というものがある。
島国が大きな変革を遂げるのは、「 外圧 」 の力が大きい。
黒船が来航して近代化が始まり、進駐軍が来て今日の原型ができた。
外圧でしか変われないというのも虚しい話だが、テロリズムによる国際社会の治安の変化や、仮想敵国の出現が日本を変えていくだろう。
それを悲観したり、意味不明の抗議を繰り返しても、問題は解決しない。
現実から逃れず、具体的な施策に立ち向かいクリアーしていくことで、日本は新たなポジションを獲得し、生き延びていけるものだと思う。
ここは、耐えなければならない。
武力で立ち向かうことを是とは言わないが、日本は国際社会の一員として、夢と理想だけではなく、現実に対峙する意思決定を求められてゆく。
たとえ過去の価値観を打ち砕かれようとも、日本は自由主義勢力の中で、強く誇りをもって存続していかねばならない。
きっとそこには、いままでとは異質の忍耐や、価値観を求められる場面に遭遇する可能性も高いが、未来に希望を託して耐えることが肝要となる。
元旦早々、ちょっと右翼的に捉えられたかもしれないが、真の国際的秩序の回復と日本の将来に向けて、「 耐える 」 というキーワードを提唱した。
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