部長motoいっぺい
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2003年02月21日(金) 戦争と平和とアメリカ人(その3)

昨年、イラクとアメリカの緊張が高まって以来、アメリカのメディアはイラク危機について大々的に報道してきたが、僕が見た限りではホワイトハウスの発表を、そのまま垂れ流しているようだった。

昨年末ぐらいから、街中でちらほらと「No Iraq War!」と書いたプラカードやステッカーを見かけるようになったり、小規模な集会を目撃するようになったのだが、それらについて報道された形跡はなかった。
そういった報道がないと、「アメリカ人の多数が、政府のイラクに対する強硬姿勢を支持している」と思い込んでしまい、なんとなくそういった世論形成がされるような気がする。
その意味、アメリカの報道のほうが、日本の報道よりも偏っていて危険なのかもしれない。
(まあ、日本のマスコミの、「ごく少数派のエゴでしかない意見を、さも大多数の意見のように、もっともらしく伝える」という面も、それはそれで問題なのだろうが)

ところが、さすがにここにきて、世界各国の反戦デモの高まりや、アメリカ国内での反戦デモも「少数」と切って捨てるには、あまりにも大きな集まりになってきたため、アメリカのメディアもこぞって報道を始めるようになった。

そうなってくると一般のアメリカ国民も、「世界各国が反対している中、アメリカが何故イラク攻撃をしなければならないのか」といった、至極当然の疑問をもつようになってくる。

また、個人の損得勘定上、次のように戦争反対を唱えるデモ参加者もいた。

「私は大学を卒業したけれども、仕事を手にすることができない。イラクに爆弾を落とすお金があるなら、景気をよくするために使って欲しい。それにイラクを攻撃したら、余計にアメリカの敵を増やすことになって、そのことはまた景気に悪影響をあたえるのだから本当にやめて欲しい」

イラクを攻撃する必要性への疑問に加え、攻撃することによる国民生活へのデメリットについて報道されるようになってくると、ホワイトハウスも「国民の声」を無視することはできなくなり、ブッシュ大統領は国民に向け、次のようなメッセージを送ることになった。

「自由ということはとても素晴らしい。このように政府の立場に反対する意見を表現することができる。しかし、大統領として反戦デモにより立場が変わることはない」


今後、本当にアメリカがイラクを攻撃するのか、それとも何らかの理由によりそれが回避されるのかは、僕には分からない。
しかし、僕にはどう考えても、アメリカが「単独」でイラクを攻撃した時に、ブッシュ大統領の株がアメリカ国内で上がるとは思えないのだ。
仮に国連の合意形成なしでイラクを攻撃した時、ブッシュ大統領の支持率があがるようであれば、僕はこの国の人の論理的思考回路を疑うかもしれない。


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