本日、連載中の小説について質問があったのでこちらで回答させて頂きたいと思います。
「スタートライン」は主人公である葉月の物語であり、各章の視点となる登場人物たちの恋物語でもあります。
登場人物たちは必ず「誰か」を想っています。
読者には、彼らが主人公と向き合ったことでどんな思いを抱きそれぞれがどういう決断を下すか――恋をすることで変わっていく彼らを見守って頂きたいと思っています。
この話は実験的なものでもあります。
物語の構成は小説でいえば(ジャンルは全く違いますが)横山秀夫氏の「半落ち」を、漫画でいえば谷川史子さんが初期に描かれていたオムニバスシリーズを参考にしています。
では何故こんな構成にしたのか。
登場人物たちに愛着があったのも一つですが、主人公の気持ちを追いかけるだけの話にしたくなかったのが一番の理由かもしれません。
確かに葉月視点で続ければ彼女の気持ちや変化にすぐ気づけるかと思います。
でもそれだけでは面白くないのではと私は思い、冒険に出てみました。
この話は序章以外は全て違う視点で描かれ、主人公の気持ちが見えにくくなっています。
つっこんで言えば読み手には「主人公が秘めている『本心』を言動から想像してもらえれば」と思ったのです。
もちろん、他の登場人物も主人公の言動から気持ちを想像しなければなりません。
それには正解もダミーも含まれているわけで(実際「ブレイク」で亜由美は勘違いしています)その結果最後で謎が残ってしまったり、視点が変わって読み手に困惑を与えてしまったかもしれません。
これは今後の私の課題とも言えるでしょう。
こういった話は三人称での複数視点(いわゆる神視点ってやつですね)で書ければ一番ベストなのですが、そういった技術のない私にはとても難しくて……でももっと本数をこなしていつか書けるように精進したいと思います。
最後に。
今回は考えさせられる感想を頂きありがとうございました。葉月に感情移入してくれてとても嬉しいです。読んで頂けるだけでも貴重なことだと思っています。ご意見は次回書くときの糧とさせて頂きます。