かなしいうわさ
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2008年10月20日(月) |
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「僕らのミライへ逆回転」という映画を観てきました。 ミシェル・ゴンドリー監督、モス・デフとジャック・ブラック主演。
よかった。 とてもとてもいい映画。 前〜中盤まではワハワハ笑い、最後は涙が止まらなかった。 映画ってちゃんと撮ればここまで出来るんだ! やったぜ!ざまあみろ!どうだい!みたかバガヤロ! と言って回りたいような、会心の映画でした。
未だにビデオテープしか置いていない、弱小レンタルビデオ店。 その店は伝説のジャズマン、ファッツ・ウォーラーの生家にあるのだけど、 お客は少なく、そのうえ市からは立ち退きを命じられてしまった。 そんな状況を打開すべく、店長は競合店調査の旅に出る。 店長から店番を任された若者、マイク(モス・デフ)は張り切って店を開ける。 しかし、彼の幼馴染の大バカ男、ジェリー(ジャック・ブラック)がとある事故から電磁波を浴びてしまい それが原因で店のテープの映像がすべて消えてしまう! 店長から任された店の大事なビデオが全部だいなし! そこでマイクとジェリーは、自分達でカメラを使い過去の名作映画を撮り直して、 客に渡してごまかそうとする。 そんな学芸会レベルの映像で誤魔化せるわけがなく、お客からクレームの嵐になる かと思いきや、そのチープなリメイクが何故だか人気が出てしまい...というようなあらすじ。
このリメイクが、べらぼーに面白い。 お金も時間もなくてチープもいいとこだけど、愛らしい工夫に溢れている。 僕らの日々も、下らなくも愛らしい工夫をかき集めて成り立っているでしょ? その最良のパターンをズバズバと見せ付けられる。 これがもう、最高に小気味良く、楽しい! ここまでのプロットの出来の良さ。 ミシェル・ゴンドリーの映像美。 言うことない。 中盤は笑い通し。 ここで映画が終わっても全然いいんじゃないか?とすら思える。
しかし、中盤以降、話はグイグイとドライブかけて加速していく。 ここからのストーリーは本編をご覧下さいね(´ー`)
「こんなクソみたいな街!」 「いや、いい街じゃないか」 「何がいいんだ!こんなところに何があるんだよ!」 「...人がいる」 「人なんて!皆クソばっかりだ!行くところがなくて仕方なく居る奴ばかりじゃねえか!」
「お前が誇りを持てるように、嘘をついたんだ。でも、嘘は嘘だ。すまなかった。俺は休むよ。地獄の2階で。」
「俺は観たぞ!」 「私も観た!」
ラスト近くの皆の顔。 顔、顔、顔、顔、顔、顔、顔、顔。
いまこれ書くために思い出しただけでも泣けてしまうナー。いかん。
人と人との繋がりの面白さ。温かみ。 人がたとえ小さくても何かを成し遂げることの楽しさ。喜び。 創意工夫の偉大さ。金じゃねえんだ魂。 自分の根付いた土地、そこに集まる人々についての愛情。 消えゆくものへのやさしいやさしい鎮魂。 大きくなりすぎた映画界、 そして大きくなりすぎた人々の生活にたいしてのやんわりとした疑問。 それらを美しく切り取る映像美。 全てが、無理なくさらりと詰め込まれている。 観終わった後に反芻し、新たな発見と感動を何度も味わえる。
うーん、書けば書くほど、空中キャンプさんの文章に 付け加えられることは何もないような無力感に襲われるな。 http://d.hatena.ne.jp/zoot32/20081011#p1 この感想文もまた、すばらしいです。 (ブロック・パーティーも借りてきました)
映画はファッツ・ウォーラーの生涯をまとめたドキュメンタリー・フィルムから始まる。 いなたいけど、味のある、良いフィルム。
ファッツ・ウォーラーは、30年代のジャズ創世記に活躍したピアノ弾き&シンガー。 ルイ・アームストロングほどは有名じゃないけど、常に人生のブライト・サイドを信じているような明るく楽しい音楽を沢山作った人だ。
この映画でオマージュを捧げられているのがルイ・アームストロングでもルイ・ジョーダンでもなく、 なぜファッツだったのか? このあたりも噛み締めて頂戴。
お前の足はでかすぎる〜、でかすぎる〜ヽ(´ー`)ノ
コネタ。ライバル店の店主はキッド・クレオールです。 とんでもないところで寝ているよ。
まあ、とりあえず観てください。 ぜひスクリーンで観てね。
角瓶を飲んで、おやすみなさい。
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