かなしいうわさ
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2006年05月03日(水) 536

どうもGWに入っても仕事ばっかだな、ということで、時間やりくりしてジャームッシュの「ブロークン・フラワーズ」を観に行った。良い映画だった。すっとぼけた裏に哀愁をひたかくしていてこにくらしいのなんの...多くを見せたり語ったりすることをできるだけせずに、逆に雄弁におかしみや哀しみを伝えている。とくにおかしみ。特段ギャグをやっているわけではないのに、会場中がクスクス笑ってた。ジャームッシュってこんなにおもろい人だったっけ? ビル・マーレィのようにはなりたくはないけど、「この映画」のようにはなりたいなぁ、と思った。
音楽もたのしかったよ。(クリサブさんち参照)










で、観終わったら17時過ぎという中途半端な時間だったので、映画のはしご。1階上にあるガーデンシネマで「寝ずの番」を観ようかなと思ったが時間があわず... もうひとつの「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」のポスターがいかしていたので、思わずジャケ買いならぬポスター観。


メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬



貧富、人種、役職、都会と過疎、国境... いろいろな問題がグチャグチャと絡み合ったド田舎のスモール・タウン。そこで働いていたメキシコからの不法移民メルキアデスが、国境警備兵によって誤って殺されてしまう。メルキアデスは、不法移民と知りつつも彼を受け入れてくれた親友に、「死んだら故郷の村へ生めてほしい」という約束をしていた。親友はその約束を果たすべく、犯人を探し出し、埋葬されたメルキアデスを無理やり掘り起こさせる。そして、親友、犯人、メルキアデスの亡骸の3人で、国境を越えてはるか遠くの故郷へと向かう。


これが、本当に素晴らしかった。「ブロークン・フラワーズ」と同じようにロードムービーなのだけど、こっちが良すぎたので「ブロークン・フラワーズ」が完全に霞んでしまった。 素晴らしいのは、根っからの悪者や善人が描かれていないことと、人に対する眼差しのきめ細やかなあたたかさがあるところだ。 「絶対悪」を設定して、「勧善懲悪」という構図で映画のストーリーをつくっていくことは簡単だろう。でも本当の世界では絶対悪とか絶対正義なんて殆どない。たしかに世の中にはどうしようもないクソな奴らもいる。でも、それぞれに背景や歴史があり、思惑がある。この映画は、そこにしっかり正面から向き合っている。そして、それらの良いことも悪いことも、あたたかな眼差しでやさしくやわらかく切り取っている。それがいい。各人の想いが、心にストンときれいに落ちてきた。とても丁寧に、慎重に作られているんだな。あと、重たい映画だけど結構笑えるのもいい。すばらしい腐りっぷりのメルキアデスは最高。なので重たい内容にもかかわらず観たあとにとても心地よい気分になった。
本当にいい映画だ!

以前絶賛した「スティーヴィー」はもう公開終わっちゃったみたいなので、こんどはこちらを是非!観て!ください!!



余談。 パンフを読み返し反芻してたら、中盤のとても良い場面で出てきていた盲目のじいさんがザ・バンドのドラマー、リヴォン・ヘルムと解り吃驚した。現地のじいさんを雇ったのかと思ってた。もうあんなおじいちゃんなのか(;´Д`) しかし滅茶苦茶良い役、良い演技。このじいさんが出てきたくらいからラストまでの勢いはものすごかったな。



 






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