毒茄子
レガお君



 ペンギンナース

出勤するなり注目を浴びる。

だいたい私がギブスの刑になったという
噂は浸透してたんだけど
現物を目の前にしてみんな興味津々
とりあえず今日のうけもちは
再入院の患者さんの入院受け×2人。

よちよち歩きで動き出す。
動線をできるだけ短縮させるために
ワゴンに色々積み込んで出かける
お公家さんのように片足ずつ進む。
めちゃくちゃノロい。
すれ違う患者さんの視線が刺さる。
下膳車の片づけをしてると、こたちゃん登場。
足は見えてないはずなのに
「おお、普通に働いとるな」って。
「何で知ってるんですか」って返したら
「町の噂や。ふふふ。」・・・早い。

ぼちぼち動くんだけど想像以上に足が重い。
急いで歩くと足がどんどん前に出て
足首に負担がかかる歩き方になる。
こんなんやったらケンケンで飛んだ方が速い。
結構イライラする。

何とか午前中に一人アナムネを取る。
ギブスの中の足がパンパンにむくんでる。
お昼ご飯は売店まで行く気がせず
食堂で出前取るけど想像以上に不味くて
さらにブルー入る。
坐ってる横にもうひとつ椅子を置いて
そこに足を上げて休憩。
ちょっと楽になったら動いて
またむくんで休憩を繰り返す。

ペンギン歩きの私に気づいた医者が
何人か声を掛けてくれる。
みんな無茶だと言う。
だんだん自分がかわいそうになってくる。
思ったより動けないから歯がゆいし。
ホモ疑惑のある船っちは
私の足見て絶句。色々聞いたあげく
「本当にお大事に」って
一番優しい事を言ってくれた。
案外優しいかなと思ってたU先生はいきなり
「足蹴っていい?」やった。
最大の難関、部長先生には会わず。

昼からは本当に足がきつくて
カルテを書くのも足を上げたまま。
片足を椅子に放りあげて坐ってる姿は
あんまりにお行儀悪いので
処置室の隅に移動。大股開きで坐る。

今日は先輩に借りたズボン白衣。
思う存分足は広げられる。
が、これも何日も着られないから
着替えを調達しないといけない。
が、小柄な私が履けるだけの
ズボンの丈の人は少ない。
あんまり長いと「松の廊下」やし
踏んでこけたら最悪。
よちよち歩くのはイライラして
本当に刃物振り回したくなる。

古巣のちびっこに連絡するも
みんなズボン白衣は持ってない。
やばい。
このままでは足が上げられないばかりか
恥ずかしいルーズソックスが丸見え。

何とか一日乗り切る。
呆けてると婦長さんから電話。
出張先からわざわざ大丈夫か確認。
今日ぐらいの部屋もちなら何とか大丈夫そう。
とりあえず明日も働いて土日は休みだから
とにかく頑張らないと。
根性あるとこ見せないと。

しんどいけど半分意地にもなってる。

2003年01月16日(木)
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