壊れた時計、抱えて。

2003年01月27日(月)
動き出していました。
3人のGRAPEVINE。

今朝、電車に乗る前に5分ほど時間があったので
改札のすぐ脇にある書店に入って『ぴあ』をめくった。
今日発売の号に3人のインタビューが載る。
急いで見てみると、そこには一昨年見慣れた3人の写真。
インタビューの内容にもざっと目を通して。
あと一週間でツアーが始まるのだと、思い出した。

思い出して、改札を抜けてウォークマンで
『another sky』を聴いた。

帰り道、また同じ書店に立寄った。
いろんな雑誌をパラパラと見て、
『ROCKIN'ON JAPAN』を読んだ。
田中さんのソロインタビュー記事。
読み進めていくうちに、
途中でカクっと膝の力が抜けそうになった。
気が遠くなる、とまではいかないけれど
膝と腰の力が抜けて、
立つ力が少しだけ弱まる感覚がした。

「GRAPEVINEは3人になったんだな」

私はその時、あらためて思ったのだ。
紙面に並ぶ“西原誠、脱退”の文字が、
目に何度も映って。
話す田中さんの言葉を読んで。
思い知らされたような気がしたのだ。
一週間後のツアーを前にして、
まだ本当の実感はないのかもしれないが。
少なくとも今日、JAPANの記事を読んだ感覚は
会報を読んだ時とも、
今朝『ぴあ』を読んだ感覚とも違っていた。
JAPANだから、というものでは(たぶん)なくて。

そのまま何も買わずに店を出た。
今日は家に財布を忘れてきていた。
(お昼、友達に500円借りた)

あらたな喪失感の中でも
私はやっぱり『another sky』を聴いていた。
この中には、まだリーダーがいる。
何が、特に、悲しいというのではなくて。
一人で「それでも」を呟き唄いながら


 時計壊れてしまった なぜ強がる
 歩きました 迷いも殺しました
 それでも

 また足元見失って あなたの事を想う
 少しだけ 泣かせてくれませんか
 息が止まってしまいそうです


いちいちフレーズに相槌うったりしながら
トボトボ家まで歩いて。
さっきまでの記事の内容を思い出したりして。
田中・西川・亀井・高野・金戸
という5人は、一昨年のツアーと何ら変わらなくて。
金戸さんがいる事実は、私にも少し心強くて。
けれど。
けれど。

なにを言葉にしても足りないような気がして。
足りないのは、あなたのいない事実に言葉が負けるから。
存在に、私の言葉が負けるからです。

3人の写真。
3人の言葉。
慣らされていると思ってた。
免疫、出来てると思ってた。
こんなにも、ダメージを受けるものだと思ってなかった。

ああ、あと一週間後。
ライブに行けばまた
いろいろと思ってしまうに違いないのに。
どうして初日のクラブチッタ、
一人なのにチケット取っちゃったんだろう。
耐えられるだろうか。
一人で。
楽しくても苦しくても、
想いの全部を一人で抱えたままの行き帰りなんて。
川崎まで時間もお金も掛かるっていうのに。
楽しみももちろんある…けど不安だ。




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