| 2004年06月03日(木) |
古武術と太鼓奏法(序)の壱 |
鐘をつく 狂言で【鐘の音】という出し物があります、この鐘をつくという動作に注目しました、「ジャァ、モンモン」と鐘の音を声で表現しますがその打った後の姿勢なのです。 現代の私達は打ち下ろすという動作を思いうかべますが、狂言では打ち放した時の動作なのです。 今の和太鼓の世界にはこの【打ち放す】という奏法が存在していません、全て【打ち下ろす】という奏法で成り立っています。
古武道では刀を鞘からぬく時、手だけでぬくのではなく、身体を開いてぬきます、居合の場合は身体の総合力が真剣に集中しますので、そのスピードは硬い原木を正に一刀両断します。この時の動作と狂言の【鐘の音】のそれが同じ概念なのです、ここで大事なのは摺り足なのです、日本古来の武道も芸能もこの摺り足が基本になっています。 【能における歩行法は「摺り足」です。この歩行法の起源が反閇(へんばい)にあるという。陰陽道より】 【反閇】 道教の歩行呪術に端を発しています。「禹歩(うほ)」が有名でこれによって道中の安全や悪鬼・猛獣などを避けることができるとされています。 こういったものを日本では反閇(へんばい)と呼びます。ただし、歩行法は若干異なります。先に出た足にあとの足を引き寄せて左右に歩みを運びます。非常に単純ではありますが、これによって悪星を踏み破って吉意を呼び込もうとします。陰陽道独自の星辰信仰の上に立脚した呪法と言えます。
【なんば走り】 古武術家の甲野先生は、このなんばの身のこなし方は、体を歪めずよじらずスムーズな動きがとりやすいと指摘されてます。現代的な歩き方では、どうしても体がねじれてうねりが生じてしまう。そうなると逆の方向に動くときにかならず無駄な動きが生じるというのす。
このなんばの走り方を応用して陸上界に画期的な実績を残したのがあの末続選手であった。彼はこのなんばの走り方を取り入れ、独自の走法を編み出したのである。その結果、短距離陸上界では日本人は不可能といわれていたメダルを手中に収めることに成功しましたね。
和太鼓の世界でいったい幾人の人が摺り足を身につけているのでしょうか、これをマスターしないと、太鼓に身体の総合力として伝わらない。
「ねー君」と肩を叩く程度の力で三尺の大太鼓は大きく鳴るし響いている時間も長くなります。 My追加
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