新知庵亭日乗
荷風翁に倣い日々の想いを正直に・・・

2002年10月12日(土) INTERMEZZO.No1

Shinどん・・Shinどん・・・
「・・・ん?ブクブクしてたのに・・・ここ何所?・・・髭のおじいちゃん?」
そこは大きな大きな河のそばでした、Shinchanが目を覚ますと、立派なお髭で優しい目をしたおじいさんがShinchanを抱えていました。
 「Shinどん、目が覚めたかのー」
「・・・・・・」
Shinchanが好きな白髪先生が描く絵のような色々な色の雲が浮かび、金色の光の帯びが空から何本もさしていました。そして回りにはお花畑があり、いい臭いがしてちょうちょが飛んでいました。
「お母ちゃんは・・・」
「んーもうじき会えもうそ」
「おじいちゃんだれ?」
「Shinどんのおじいちゃんのおじいちゃんでごわんど・・・」
「・・・・・」
「台風は?・・・どうしてShinchan、ここにいるの?」
Shinchanは何故か言葉がスムーズに出ました。
「そいはな、Shinどんがここに来るんにゃ、まだ早いんでのー、こうしてこん爺が母どんの元に送っていく事になったのじゃよ、Shinどんは未だ言葉が喋れんのが都合よかったのじゃなー、こげん稚児には早すぎる、母どんがどけん悲しむこつかー」
「向こうに見える大きなお城があるじゃろ、あそこに行くとShinどんはもう母どんの元には戻れんのじゃ、じゃどん戻るんには順番があってのーShinどんはまだなんじゃ、そいでんこの爺様がShinどんに話ばーするとよ」
 おじいちゃんは山高帽に黒いコートを着ていて、凄く立派に見えます。

「Shinchanのおじいちゃんはヴァイオリン弾くよ、でおじいちゃんは?」
「あれはのーオイの孫じゃ、Shinどんはまたその孫ということじゃ、まー解からんでよかよ」
するとワンちゃんを連れた太ったおじさんがノッシノッシとやって来ました。

「おーShinどんね、こん子ね、かわゆか稚児でごわすなー、こんりゃはよー帰さんとな、Shinどんな!こん新太郎爺様の話をよく聞きやんせ、オイと爺様とは夢ん中で、いつんでも会えるでごはんど、そんち又会いもうそナー、可愛いかね、はよー帰りゃんせ」
と言って太ったおじさんはニコニコ笑いながら、ワンちゃんと一緒に小さなお船に乗ってバイバイしました。
「あん人はせごドンちゅうてのう、オイを仏蘭西国ちゅう国に留学させたせんせ、なんじゃ、こん話はShinどんの爺様も知らんとよ」
「じゃ大爺ちゃんもヴァイオリン弾いくの?」
「大爺ちゃん!よかよかそいでよか、そんちShinどんも行く仏蘭西国にのー、軍楽隊の勉強に行ったのじゃよ、指揮もドラムも勉強したとよ、オイはな、Shinどんのような頃から鹿児馬で太鼓ば叩いていたんじゃ、そんでニセさーが皆戦争に行っている時にさっきのせごドンに言われて留学ばしたと」
「ふーん、太鼓叩いたの?」
「Shinどんもな太鼓叩くようになるとよ、そん前に音楽の勉強をせんにゃな」

 すると遠くのお城の方から音楽が聞こえてきました、お母さんが弾く筝の音と沢山の人達の歌とヴァイオリンやラッパ、太鼓の音でした。そして音楽と色々な光がShinchanを包み、眠たくなりました。
・・・・Shinどん・・・Shinどん・・・元気でのー・・・また・・・会いもうそ・・・






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