2002年10月10日(木) |
おじいちゃんのヴァイオリン |
Shinchanの事を一番心配していたのは、お父さんのお父さん、おじいちゃんでした。「お前が仕事ばかりにかまけるからShin坊の口が遅れてるんや」とお父さんを叱っていました。 Shinchanはおじいちゃんのお家に行くのが大好きです、それは阪神電車という電車に乗れるからです。 阪神電車はかっこよかったのです、一番前が流線型でおもちゃの飛行機のようでした。お父さんを引っ張って、もちろんShinchanは一番前に乗ります、そして梅田駅で降りて、地下鉄に乗りかえるのも好きでした。 「Shin坊よう来たなー、そうかヴァイオリンか、よしよし弾くからな」と言っておじいちゃんは演奏をはじめます、 「・・・・」
「未だShin坊にはこれ大きすぎるんや、この曲はなドボルジャークの新世界ちゅうんや・・・」
元満州映画会社、現在は毛沢東の像が立つ長春電影宮
「おじいちゃんはなー、満州というところで映画を作る仕事してたんや、オーケストラちゅうてたくさんのヴァイオリンやラッパや太鼓でな、大勢の人で楽器弾いて、映画に音楽をくっつけるんや、Shin坊は映画見たことあるか?」 「・・・・・?」 「そうか、今度一緒に行こか、それでな、おじいちゃんはその時、仲間の国やったドイツのベルリンという所へ音楽家を呼びに行った事も何回かあったんやで、あんな素晴らしい音楽を作った国やのになあ、日本と一緒に戦争負けたんや、戦争はあかん」
「満州はひろーい国でな、おっきな真っ赤な太陽が建物も何にもないひろーい畑の向こうにしずんでいくんや、寂しゅうて寂しゅうてな、こうやって、新世界の曲を、よーヴァイオリンで弾いてたんや」
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