六本木ミニだより
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■今回の引越しで、ずいぶんいろいろなものを捨てた。捨てるのは嫌いなので、なるべく売ったり人に譲ったりしたのだけれど、間に合わないものもずいぶんあった。
■なかでもいっぱい捨てたのが調理道具。14年間使ってきたフード・プロセッサーを初め(14年以上前にそんなものがあると私に教えたのはもちろん千葉敦子)、お菓子作りの道具やら、やっぱり14年前に買ったオーブンやら、とにかく捨てた。オーブンはここ数年はほとんど使わなかったけど、それでも年に1度、クリスマスのときにだけは、鶏を丸のまま1羽丸焼きにして、パーティを開いてみんなで食べるのは、めちゃくちゃうまかった。タルト型だって、前の交際相手とのデートのときに、何度キッシュを焼いて戸外に持っていったっけ。「ものより思い出」というけど、「ものと思い出」はそう切り離せるものではなく、しばらくこの悼みは続きそうです。
■写真に写っているのは、88年に買ったアイスクリーム・メーカー。母がもうガン末期になっていて、何も喉を通らなくなっていたときに、新聞で新製品の記事を見つけて、これでアイスクリームを作っては病室にもっていっていた。ひとり暮しするときに持って出てからは、会社の帰りに夜、駅で降りると、よく、トラックが来ていちごなんか安く売ってますね(あまり甘くないやつ)ああいう果物は加工すればおいしいので、あれと牛乳と生クリームで、いちごがどっさり入ったアイスを作って食べていた。
■このアイスクリーム・メーカー、いかにも技術屋さんが作った、という感じのおしゃれじゃないデザインだけど(日本軽金属の製品で、商品名はその名も「どんびえ」)、この液体金属を使って冷やし固める、というアイディアは、その後、何年もたってから、ウィリアムズ・ソノマに採用されることになります。
■今回、これだけは難を逃れて妹にあげることになった。今日、古い家を掃除に行って、「人にあげるんだからきれいにしよう」と思って、もう一度、洗った。箱をあけたら、ほのかにヴァニラの香りがした。なんか泣けた。
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