夏撃波[暗黒武闘戦線・歌劇派]の独白

2006年09月03日(日) Let's業!家族(ふぁみりー)レストラン 

 裏庭企画公演『Let's業!家族(ふぁみりー)レストラン』を、新栄「pHー7地下劇場」に観に行ってきた。
 結論から先に言えば、とても面白い芝居だった。
 まず、何よりホン(灯乃湿・作)が非常によくできていたと思う。隠喩としての「(家族不在の)ふぁみり〜レストラン」を舞台に、新鮮な切り口で「超現実」的世界を再解釈してみせた作品、というふうに理解したのだが。人間が生きていくうえに逃れられないもの、自分ひとりの力ではどうすることのできないこと、が確かにある。例えば、私たち人間は他の生き物の命を食べることによって生きることができる。もっと言えば、他の命を奪うことによってしか生きることができない。そうして人間は業を負って生きていくしかないのだ。そこに苦悩も生じる。現代を生きる人間の存在のあやうさも浮き彫りにされる。非常に重いテーマがある一方で、この芝居はエンターテイメントとしても十分に成立している。
 文学性と娯楽性とが両立しているのは、やはり演出の妙というべきか。セリフひとつとっても、あらゆるバリエーションで、テンポよく聴かせていた。随所に実験的手法が盛り込まれてもいた。
 そして、最後はやはり役者の力。特に、主演・流仙まやはその圧倒的存在感で観客を魅了していた。
 最初、役者のテンションがあまりに高かったので、ステージと客席との温度差が気にはなった。それでも、知らず知らずのうちにのめり込むように舞台に見入っている自分がいた。実は、それほど期待していなかったのだが、予想をはるかに超える素晴らしい作品だったと思う。


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夏撃波 [MAIL]