夏撃波[暗黒武闘戦線・歌劇派]の独白

2006年08月09日(水) 恩師・鶴見和子さんを悼んで

  萎えたるは萎えたるままに美しく
   歩み納めむこの花道を
    (鶴見和子歌集『花道』より)

 7月31日、私の大学時代の恩師・鶴見和子さんが亡くなられた(享年88才)。南方熊楠や柳田国男の研究、地域住民の手による発展を論じた「内発的発展論」などでも知られる社会学者。1979年に『南方熊楠』で毎日出版文化賞、1995年に南方熊楠賞、1999年に朝日賞をそれぞれ受賞。1995年に脳出血でたおれ左片麻痺となり、車椅子生活を送りながらも、これまで書かれた著作をまとめた『鶴見和子曼荼羅』や、生涯の中でかかわりのあったさまざまな人物や学問上の関心が照応する相手との対談をまとめた『鶴見和子 対話まんだら』というシリーズを刊行。和歌や日舞、着物などの趣味の豊かさでも知られ、その方面の随筆、写真本などの刊行物もある。
 鶴見さんは、学問に対する姿勢には厳しかったが、キモノのよく似合う美しいおばあちゃん先生だった。その生き方に学ぶところも多かった。冒頭に短歌を紹介したが、その歌からは常に前向きに生きてこられた鶴見さんの生きざまが伝わってくる。
 生前に鶴見さんが詠まれた短歌を紹介したいと、今夜は八事「POPCORN」で開催されている「詩のあるからだ」に参加。鶴見さんの短歌数首を朗読。それと、『竹田の子守唄』をミンミンで演奏した。「詩のあるからだ」では、参加者個々の朗読の後、中島みゆき『あたいの夏休み』の詠みくらべスラムも行われた。
 話は前後するが、最後に鶴見さんの短歌をいくつか紹介しよう。

  みんみん蝉生命(いのち)のかぎり鳴きつぐを
   我が歌詠(うた)うリズムとぞ聴く

  生命(いのち)細くほそくなりゆく境涯に
   いよよ燃え立つ炎ひとすじ

  おもむろに自然に近くなりゆくを
   老いとはいわじ涅槃とぞいわむ

 鶴見和子さんのご冥福をお祈りします。


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夏撃波 [MAIL]