雨の柳ヶ瀬 けむる街角 桜舞い散るその橋のたもとに 黒いコートの女が一人たたずむ 「君の名は」とたずぬれば 「幸子」 と、君の口元が小さく動く 「幸子、か。いい名前だね」 「いいえ、私ほど幸薄い女もいませんことよ」 男の瞳に映る君の身体がかすかにふるえる いつしか二人は手に手を取って 相合い傘で雨ん中 今日は柳ヶ瀬 明日はいずこか 二人の前途に幸あれかしと 心より願う水戸光圀であった