名駅・シネマスコーレに映画を観に行った。 昼には、今年亡くなられたレニ・リーフェンシュタール監督(享年101歳)の『ワンダー・アンダー・ウォーター』と『アフリカへの想い』を観た。100歳で完成を見た『ワンダー・アンダー・ウォーター』で、彼女は水中世界の美を追求している。71歳の時に、年齢を51歳と偽ってライセンスを取得し、水中写真を撮り続けたという。また、1975年以来彼女が25年ぶりにアフリカを訪れたときの映像が『アフリカへの想い』(レイ・ミュラー監督)としてまとめられた。彼女のエネルギッシュな生き方には驚かされるばかりだ。 けれども、彼女はその生涯を通じて「ナチの同調者」との烙印から逃れることができなかった。ダンサー・映画女優を経て映画監督となった彼女は、ヒトラーからの依頼により1934年ナチ党大会の記録映画『意志の勝利』を、また36年ベルリン・オリンピックを撮った『民族の祭典』『美の祭典』を発表。いずれもニュース記録以上の美的映像として仕上がり、高い評価を受けた。だが、その高評価は戦後一転し、「ナチの同調者」として彼女は批判にさらされることとなった。 1993年に発表されたレイ・ミュラー監督のドキュメンタリー映画『レニ』(レニへのインタビューを中心に構成されている)のなかでの彼女の発言等から判断すれば、彼女は自分が撮った映像がプロパガンダに利用されることに対してあまりに無自覚であり無防備であったと考えられる。美しい映像を創り出すことにおいて一流の才能を持ったはずの彼女には、表現者が最低限持つべき「社会的責任」の意識が欠落していた。自らの表現が他にいかなる影響を及ぼすか、その問いかけが表現者にはあってしかるべき、と私は考えるのだが・・・。
夜、パレスチナ映画『ガザ回廊』を観、足立正生氏(映画監督。「日本赤軍」の活動家でもあった)と若松孝二氏(映画監督。「シネマスコーレ」のオーナーであり、「日本赤軍」のシンパでもあった)のシンポジウムを聴く。 結局、20世紀中に「パレスチナ問題」の解決を見ることはなかった。そればかりか今世紀に入ってから、情勢はますます深刻になっているのではないか。イスラエル当局の無法ぶり、それを支持するアメリカ政府、無関心な国際社会・・・、パレスチナ人はやり場のない怒りを石つぶてにこめるしかないのだろう。 インティファーダ(抵抗)。映画のなかで、顔立ちはまだ幼いパレスチナ人の少年が強い意志をもって自らの決意を語っている。「こんな幼い少年がなんて立派な」と思うと同時に、「本当はもっとのほほんと少年時代を送れるといいのに」とも思う。彼らはいわば「少年時代」を奪われているのだ。 世紀を越えて「問題」は山積したままだ。
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