北朝鮮拉致被害者のうち5名の生存者が日本に一時帰国した。四半世紀の空白を越えての再会は、ご本人にとっても、ご家族にとっても、万感迫るものがあろう。 この問題の解明はまだ緒についたばかりであり、今後さらにねばり強い交渉が望まれよう。 小泉首相の訪朝の際に明らかにされた拉致の事実であったが、それ以来、日本国内において在日韓国・朝鮮人への嫌がらせが頻発しているらしい。そんな報告を耳にする時、同じ日本人として本当に情けない気持ちにさせられる。「罪なき人々」そして「弱い者」を狙い撃ちにする有形・無形の暴力に対しては憤りさえ感ずる(拉致の犯罪性を云々する前に「てめえのやってることは恥ずかしくないのか」、 胸に手を当てて考えてみてほしいよな)。 美しく生きることは確かに難しいことかもしれないし、私自身そんなに立派に生きているわけではない。ある意味で醜さも許容されるべきとは思う。でも、明らかに「弱い者いじめ」でしかないような、恥ずべき行為に対しては、決して許されるべきではないとも思っている。 と同時に、人間の持っている暴力性、そして暴力を内包した人間のつくり出す社会、というものについて、あれこれと考えてみる。だが、考えてはみても、答えを求めて同じ場所をぐるぐると回っているばかりだ。
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