バカ恋
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■ けもの道 ■


とうとう参拾弐歳に成りました。

おめでとう有難う。




御誕生日には、コージと食事に行って来ました。

八時にうちに迎えに来てくれて、

其れから小洒落たレストランで御食事して、

他愛の無い話をして、そしてまた送ってもらって、

サヨウナラをしました。




聞きたい事や、言いたい事は山ほど在ったのだけれど、

結局聞けずじまいで・・・

いや、違うな。

聞こうと思えば聞けた筈なのだけれど、

こうして何事も無く、他愛の無い話をしている事が、

全て壊れてしまう気がして、言葉を呑み込んだのです。




大事な事は何時も先送り。

そうやってどんどん辛くなっていくのだわ。

刹那に生きているつもりは無いけれど、

そうでもしなければ、

あたしの存在価値が何処に在るのか、

あたしの存在自体が何なのか、

何も判らなくなってしまう気がして・・・





コージからのプレゼントは、綺麗な水色のシャツでした。

どう考えてもあたしの趣味ではなく、コージの趣味。

あたしに似合うかどうかも微妙な品。

それと、一冊の本。

「そよ風のように生きる」という本を頂きました。

以前、コージがこの本の一節をメールで送ってきてくれたのですが、

全文を読んでみると、かなり宗教チックなモノでした。

宗教の事はよく判らないけれど、

人を愛し、人に優しくせよとツラツラ書いて在りました。

裏を返せば、誰もが同じような事で迷い悩んでおり、

其の心を癒すかのように、愛や優しさを求めるのだと思います。










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