カタルシス
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2002年05月18日(土) |
庶民が愉しむ江戸の世界 |
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花緯どのと江戸東京博物館へ参る。 企画展『利家とまつ展』と常設展の両方を楽しめる入場券を所持して居った故、前回に次いでお誘い申し上げた。 前回 花緯どのは写真機を持たずに入場し、至る所で見かける撮影特所にて地団駄を踏んでおられたので、此度はご用意のほど 万全であろうと思いきや、またしてもお忘れになられたとのこと。誠に甲斐のないことに御座候らう。
とね、現在NHKで放映中の大河ドラマ『利家とまつ』にあやかった展示な訳だけど、書物・掛け軸の類が多く、無学の徒である自分には 前回の『昔のおもちゃ展』の方が随分に面白かったように思う。書状見たって解るのは押印・花押くらいなものだしさ。花緯さんと二人、容赦ないペースで進んでいた。解らないものに裂く時間があったら常設展の精密模型を眺めていた方が何倍も有意義だもの。
ええ、そう 私は模型好き。
江戸東京博物館の常設展へ行ったら、必ず『三井越後屋』と『日本橋』の模型の前で暫く動かなくなる。次点が『銀座煉瓦通り』。見たことある人は解ってくれると思うけど、この模型の芸の細かいことには、ほとほと感心する。自分も人形と同じサイズになって中を歩き回りたい衝動に駆られるんだ。
今回も同じように模型の前でつっかかっていたところ、一番のお気に入り『日本橋』の周囲に双眼鏡が設置されているのに気がついた。今まで何度か訪れている場所だが、双眼鏡の設置は初めて見た。一気に心が騒ぐ。
「見えるー 見えるよ結構♪ きゃあ〜」 本気で大はしゃぎ。そうか、この手があったんだ! 双眼鏡を使えば、今まで遠くて見えなかった細かい部分が、いい感じに見える。しかも、周囲の視界が遮られるので 本当に江戸の町を覗いている気分♪ ワクワク度は大盛り上がりだった。 「くぅ〜、次はマイオペラブラス持参でッ…」 拳を握ったことは言うまでもない。 きっと いつまでもその場を離れない有様に、同行の花緯さんは苦笑いだったことだろう。 でも、そのくらい好きなの。 模型が。 江戸の町が。
ひとしきり廻って満足した我々は博物館のある両国から東京へと場所を変え、洋食屋に入り昼食とする。そのあと八重洲の地下街をプラプラして、ちょっとお茶をしてから 花緯さんは帰りの新幹線の時間、私は次なる約束の時間が近づいてきたので、それぞれの目的場所に向かって分かれることになった。 また、次のBAMBIまでご機嫌良う(笑)
さて。 ワタクシの次なる目的地はと申しますと、半蔵門は国立劇場に御座居ます。 近頃仕事をご一緒しているライターさんのお口添えで、文楽のチケットを入手致しました。しかも前から8列目のど真ん中。文楽の舞台を観るには最高ランクのお席で御座居ますのよ。ほほほ。
この度の演目は 通し狂言『菅原伝授手習鑑』。一般に歌舞伎や文楽の公演は見やすいように細かく幕分けされていることが多く、一つの物語を見せ場毎に区切って上演されたりします。通し狂言とは、物語を最初から最後まで全部上演するもので、大抵一日がかりの大舞台。もちろん、長いので間間に休憩時間は挟んでいますが ストーリーは端背負わずに演じるのが基本です。
今回私がお願いしたのは通しの後半、『午後の部』のみ。チケットは午前と午後に分かれているので、本当に全編通しで観る人は2枚分の料金が必要になります。ちなみに1枚5800円でした。 でも、出演者の人数(人形1体に3人つく)や舞台の規模から考えると安いと思うのよ。8000円代の舞台やコンサートだって沢山あるもんね。人間国宝のお出ましもあって、値踏みなんて畏れ多いってもんヨ(笑)
『菅原伝授手習鑑』は以前に歌舞伎で一度観たことがあり、その時も後半部分だったので、今回は文楽の切り口を愉しむつもりで臨みました。 歌舞伎も文楽も扱われる題材はほぼ同じ。でも、舞台の性質上 見せ場や演出が変わるので、同じ物語りでも違った趣が楽しめます。歌舞伎の方が派手で外連味が強いようです。歌舞伎って仕掛け凝ってますしね。大衆芸能だから大掛かりなものがウケたんでしょう。
その点でいくと文楽は人形を使う分動きが制限されますが、そこは芸人の技。本当に生きている人のような動きや表情を 情緒豊かに魅せつけてくれます。もう本当 うっふりvよ。 で、出てくる小物とかにも私はトキメいちゃうのね、模型好きだから。(笑) もっとも、模型と言っても文楽の人形は結構大きくて130〜150cmくらいあるので 小物もさほど小さいって訳じゃありませんが。でも実寸とは やはり違う。お子さまサイズくらいです。
スゴイ良かった。 昨日のBAMBIにも感動したけど、別の感動を覚えました。太夫(台詞やナレーター)の言っていることもパンフレットと一緒に売っている床本集(台本みたいなもの)を追えば素人の私にも充分理解できたし、一度見ている上 事前にあらすじをおさらいして行ったので割と困らずに舞台を楽しめました。
人形奇麗だった〜 三味線と太夫の雰囲気も結構好きだし。日本芸能万歳って感じ。 ただ、前回も思ったんだけど 『菅原伝授手習鑑』のストーリーって劇的で人情に訴えるものはあるけれど、現代人の感覚で見ちゃうと 目茶苦茶な話だなぁって。昔の価値観や考え方なんかが解ってないと 何でああなっちゃうのか理解できないと思うよ。 人の生き死にの感覚に相当なズレが…。
しかーし!それが江戸の粋。 鮮やかに散る徒華と 喝采を送らねば 江戸っ子の名がすたるってもんだい! <誰が江戸っ子じゃ
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