おじさん同士の友情物語です。 何という切ないラスト! 読み終わってしばらく、余韻に浸りました。 相手を助ける行為が別れを意味する、という設定が好きなので、ツボでしたvv
小学校の同級生で、今は同じ職場で働く三都と安斉。 二人は、ある日を境に、眠ると、小学生時代に意識だけタイムスリップするようになる。 毎朝、起きると現代に戻ってくるのだが、それを利用して、同級生の里美ちゃんを救う計画を立てる。三億円事件がきっかけで一家心中をするので、それを阻止しようと言うのだ。 だが、過去を変えると、未来にゆがみが生じることが判明。何かを得ると、何かを失うことになるのだが…という話。
正直、三億円事件の真相とか、里美ちゃん救出作戦のくだりは、さらっと流されていて、物足りないのですが、友情ものとしては素晴らしいと思います。 最後は、三都が死ぬのかと思っていたのですが、予想外のラスト。 無事、計画は成功し、安斉の生活は守られるのですが、三都は過去に残ってしまって、二人は永遠に離ればなれになるんです。 安斉は、過去にタイムスリップした記憶のない、現在の三都を見て、大事なものを失ったと涙するんですね。くーっ。 三都は三都で、小学校時代に残ったまま、48歳の意識が薄れていくのを感じます。未来を失っても、親友を守れたのだから満足だ、と思いながら。泣ける〜。
この本は、三省堂書店さんのブログで知りました。 頻繁に更新されてて、レビューが面白いんですよ。 今度は、「のぼうの城」(オノナツメさん表紙の時代小説)を読みたいな。
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