木原音瀬「WELL」読みました。 ある日、世界が砂漠化して、生き残ったのは地下にいた人間だけ。数少ない食料をめぐって争いが起きる…という話。 木原さんの本の中でもダントツの痛さです。これに比べたら、「FLOWER」の方がずっと愛があるような気がする。もう、BLじゃなくてSFです。BLというジャンルで出す意味、どこにあるんだろう? でも、表題作の「WELL」はまだ好き。問題は続編「HOPE」の方です。これ、続き書かない方が良かったんじゃ。希望が全然無い。しかも脇役視点だし。主人公達の関係はどうなったの? ネタバレ世界が砂漠化した理由とか(水素爆弾かと思ったのですが)、最初の仲間殺しの犯人は、しのぶじゃないの? とか、疑問への答えが全然出てない。木原さん、後書きで「助けが来るバージョンも考えて」って書いてあったけど、どうしてそっちを書いてくれなかったんですか!(泣)編集さんも止めてくれよー。こんな、愛が無くて暴力ばかりのグロイ話読みたくないよー。 私は、伊吹の考え方がおかしいとは思わなかったんですよ。むしろ、凄くまともだから、デパ地下の人の食料を奪いに行こうとしたんだと思うし。あっさり殺されるより、強行派の伊吹と、正論だらけの田村との対立を、描いて欲しかったなぁ。 それか、デパ地下側との息詰まる攻防とかを期待してました。大津のキャラは、ひたすら汚らわしいだけで、読んでて何も得ることがなかった。しかし、私はデパ地下の人たちが受け入れを決定した時点で、地下街の人たちを食料にするつもりだって、分かりましたよ。かなり人でなしなんだろうか。 そうは言っても、途中まではかなり面白かったです。私が続編書くなら、世界で何が起こってるか分かって、砂漠を脱出するめどが立つとか、希望を持てる終わり方にする。亮介も、しのぶのことを少しずつ理解していくとかね。だれか、同人誌で書いてください…(でないと立ち直れない) 藤子不二雄の短編漫画を思い出しました。宇宙船が無人星に不時着して、正義感のあるリーダと、ジャイアンみたいな暴君が対立する話。これは最後には、宇宙船の穴を氷で塞いで脱出するんですけどね。どうして木原さんは…(--; ◇ 木原さん、6月の新刊は「牛泥棒」です。わーい。このタイトルで、挿絵・依田沙江美さん、和風ファンタジーって、想像つきませんね(笑)楽しみ。
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