2006年01月05日(木) |
ワダエミの衣装世界展 |
以前から行きたいと思っていたので、寒いけれど晴れた空に誘われるようにして出かけてきました。
『HERO〜英雄』『LOVERS』舞台『浪人街』テレビドラマ『里見八犬伝』の衣装が展示されています。 最近放映された『里見八犬伝』の衣装が一番数が多く、見応えがあるのは『LOVERS』でした。 ちなみに、私は『HERO〜英雄』と『里見八犬伝』は見ていますが、『LOVERS』は見ていません。見ていたら、もっと感動が大きかったかも知れません。 でも、あの有名な踊りながら太鼓を叩くシーンは目に焼き付いているし、映画のトレイラーを流し続けているので、見入ってしまいました。 近くで見ると映像で見る以上に色が鮮やかで、中にはぎょっとした役者さんもいるのでは? と思いました。特にグリーンが鮮やかですね。
展示の最初は『HERO〜英雄』です。 風を入れて衣装がなびく工夫をしていました。 衣装自体は絹で作られているものが多く、一部パイナップルファブリックなどを使ったり、刺繍を施したりしています。が、全体的には華美なものではなく、凝った作りではありません。 むしろ、ただの布に近い感じで、しかも折り柄も何もなく、透けるような薄い生地です。 でも、だからこそ、あのアクションで動きが出ることになったのでしょう。色鮮やかに舞う絹の残像こそ、あの映画の映像美に繋がっています。 シンプルだからこそ色の美しさが引き立ち、幻想的ですらあったような気がします。 着物風ですが、あわせは浅く、しかも裾はゆったりとスカートのように幅があり、動きやすそうです。 赤の衣装で女同士が戦うシーンが印象的ですが、その赤が一番苦労したようです。 中国では水が日本と違うので鮮やかな赤に染まらず、わざわざミネラルウオーターを使ったとか。 その努力のせいなのか、赤はあでやかでしかも深い色でした。映像でも印象的でしたが、映像以上に深みのある色です。 白の衣装は、よく見ると裾に穴があいていました。 あれだけの激しいアクションです。衣装も傷むのでしょう。絹だし。 (とはいえ、絹は実は丈夫なんですよね。昔はパラシュートに使われていたらしい) 逆に、ああ、この衣装を着て演技をしていたんだな……などと、感慨深かったです。
『HERO〜英雄』は、無名という男の語りと現実の世界の組み合わせで成り立っている映画です。 無名の語り部分は、人々の心模様が色であらわされていて統一されています。無名だけが黒い衣装というのもなんとも印象的です。 現実の世界は、黒っぽい衣装で表現されていて、また、少し凝っています。歴史上もこんな服だったのかな? というリアリティも感じます。 あきらかに幻想世界との違いを意識していますよね。
思い出したのが、『乱』 これもワダエミの衣装担当でしたが、あの映画は妙に幻想的な世界でした。 衣装の色のあでやかさが、やはり現実離れしていたような気がします。 当時は『影武者』などの黒澤映画に比べるとリアリティの薄い感じがして今ひとつと思ったのですが、黒澤監督は『HERO〜英雄』のような幻想的な世界を作ろうとしていたのかな? などと思ったりして。あのアクションは別として、映像的にね。
……と。 ここまで書いたらえらく長くなったので、続きは明日にします。
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