実は、私も応募して、見事に落選してしまいました。(^0^; 悔しいけれど、まぁ、これからもがんばって、どこかの賞に引っかかるよう、努力していくだけです。 で、今回は、審査員になるべく、ノミネートされた作品をすべて読み……投票しました。 候補は最後、二作品にしぼりましたが、説得力あり、最後に驚かせてくれた【トマト】に決めました。
主人公である彼女がトマト嫌いである、ってところに、同じくトマト嫌いの私も、ものすごく反応したし、実に夫婦間のさりげない日常とさりげないふれあいがよかったかな? と思います。 読点が少ないところが、個人的には読みにくかったのですが、プロっぽい作品だな、と思いました。 ばりばり働く女性とその夫。私自身が、ちょうど夫とともに年齢を重ねていく人生の最中なので、一番共感できた、っていうのもあります。 前半頭をひねってしまった【僕】の正体に、ちょっと脱帽です。(笑)
もうひとつ、候補に残していたのが【バイバイ、かまどうま】で、実にうんざりな生活感に満ちた描写が見事で、それが【かまどうま】というコウロギとクモを合体させたような嫌な虫に集約されていたと思います。 テーマとしては、拙作の【狩人の時節】にも少し似たところがあるのですが、汚いものへの容赦が全く感じられないところが、かえってすごいかも知れません。 でも、ストーリーとしてはひねりがなく、面白みもはっとするところもなかったので、結局は【トマト】を選んでみました。
【キヨコの成分】は、小説というよりもエッセイのようで、ただ日記を書き連ねたような作品に感じられました。 その弊害の一番は、登場人物の多さと【私】という語り手の中途半端さにあります。 この作品の魅力は強烈なばあさんにありますが、おそらく現実にいただろうモデルなしではなりたたないだろうな。昔の人は、強烈な人が多いですよね。 そのばあさんの血をひいているから、だから、どうだ? って気もして、今イチ『私』はつけたしですね。
【夢の演出家】は、会話文でほとんど話が進んで行くような、テンポある作品です。 非常に書き慣れた人だな、って感じがしましたが、私の好みではなかったかな? ついでに一部で既存作品に似ているという話が飛びかっているようです。 それを【前代未聞の設定】として評価するところ、ちょいと選考委員に問題あり? 作品自体はレベルの高いものだと感じます。
【アシタ】は……。 申し訳ないけれど、私には読めた作品ではありませんでした。 この感覚は理解不能。散文詩のような作品でした。 逆に、この不思議感覚が新しいとされたのかも知れませんが。 何が言いたいのかもわからず、何が書かれていたのかもわからず、正直、読むのが苦痛でした。 あらすじ読んでも、よくわからん。 おまけに、数字が時々半角になったりで、縦書き表示で文字が寝ていたり……。
原文そのまま、は、大切なことかもしれませんが、せめて校正して、作者に修正を求めてあげてもいいと思います。 私もそうなのですが、今のPCだと半角と全角が区別つかずで、うっかり変換されていたら、そのままってこともあるんですよね。
……と、全然ハシにも棒にも掛からなかった私が、エラそーに品評。(^0^; それもまたたのしからずや……。 最終結果が楽しみです。
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