【アイルの書】の感想を書こうと思うのですが、なんせ本を返しちゃったもので、細かいところ、嘘があったり、名前を覚えていなかったりです。 ごめんなさーーーーーい!(^ー^;
えっと。 まずはですね。この作品を読んでいる間、私は指輪の呪縛から逃れることが出来なかったことを、白状しておきます。 確かに【白い鹿】でも、多分にトールキンの世界を彷彿させるところはありましたが、全くの別物と感じました。が【銀の陽】に関しましては、作者が意図的にトールキン世界を踏襲したのだ、と感じるほど、あらゆる設定、モチーフに指輪の影がちらつきました。 一つ一つ上げればキリがないほど……です。 エルフのくだりは、まさにそのもの。アランに送られた石のエピソードは、そこまでやるの? って感じでした。あれま、この人はエルロンドみたい……ここは裂け谷? って感じのシーンもありました。
が、全く違うのは、やはり女性的な歩み寄りというか……。 たとえば、このエルフとの恋物語で言えば、【指輪物語】のアラゴルンは、アルウェンとの恋の成就のために突き進みます。が、結果、その別れは悲しいものになる。 アランは、そこまで考えて恋愛を躊躇します。それって、やはり女性の立場を考えた視点だと思うのです。 映画【ロード・オブ・ザ・リング】のアラゴルンは、むしろ、アルウェンとの恋愛に関しては、アランと同じ感慨を持つことになる。 これって、シナリオが女性ってこともあると思うし、もしもシナリオライターが【アイルの書】を読んでいたとしたら、共感したのだと思うんです。 まさに、キャッチボールみたいに、作品が影響し合った可能性も、なくはないな、と思います。
また、一番印象に残ったのは、ハルが【悪】について語る台詞です。 本がないので、そのまま引用することは出来ませんが、誰しもが悪になり得るということを語っているシーンがあります。 【指輪物語】の中でも、本来は善人であるべきボロミアやデネソールが、指輪に翻弄されて堕ちてゆく様、平凡なホビット亜種であったスメアゴルが、ゴクリとなってしまう様が描かれています。 でも、基本的な悪は、絶対悪なのです。 冥王サウロンとオークども、彼らはけして正義にはなりえない、絶対悪として描かれています。 でも【アイルの書】には、そのような化け物はいないんですよ。きっと、視点を変えれば、それなりに気持ちわからんでもないなぁ……と思えるような。 その善悪の解釈が、微妙に指輪世界よりもリアルな世界に投射しやすいところがあると。
この話のメインは友情。 親友同士ではあるけれど、常にアマアマなわけではないですね。 ハルが非常に自分の地位に固執せず、また、敵に対しても温情を掛けてしまうような、わりとおっとり系なところがある。でも、アランはスカッとした人間らしい感情の持ち主で、欲しいものは欲しいと思ったりもして、ぶつかったりもする。 葛藤しながらも、ハルとの友情を大事に思うアランが魅力的です。(^ー^) ハルは、やはり生まれが生まれだけに、人間離れしているよな……。(笑) と、言いつつ、私はハルが大好きですけれど。
とある方から「エーデムリング物語」も友情ものですよね? と、アイルの書の話をしていて振っていただいたのですが。 そう言えばエーデムも指輪に影響を受けて書いた話ですし、友情ものですし、共通点はあるかも知れません。 でも、なぜか自分のキャラに投影するとしたら、エーデムのギルティとメルロイよりも、セルディとアルヴィですね。 兄弟ってこととかもありますけれど、私自身が、アルヴィを朝日の中の存在・セルディを夕日の中の存在として、イメージを作り上げたからかも知れません。
………。 今から思うと、【陽が沈む時】って、実はとても残酷なタイトルだったのではなかろうか? とある一つを滅して、新たな時代の夜明けを迎えるという……。 今更色々かんがえるなよ、自分。(笑)
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