数日前に雪虫を見た。 アブラ虫のようなものに綿毛がついて羽が生えて飛ぶだけのことだが、小さいときは、よく雪と間違えた。 もちろん、大人になってからは間違えることはない。白くて雪のようにふわふわ飛んでいても、雪とはまったく別物だから。 ただ、昔から、この虫をみたら、一週間以内に雪が降ると言われている。 これがどういうわけだか、不思議とあたってしまう。 そして今日、雪とはいえない代物だが、みぞれ交じりの雨が降った。 街灯りに輝く道は、シャーベット状のものが薄く積もっていて、かすかに足跡を残している。 汽車の窓にあたる雨粒は、まるで散弾のようにさらに細かい雨粒に別れて、文様を描く。
はぁ…… また、冬が来てしまうよ……。
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