2005年04月03日(日)  「ダ・ヴィンチ・コード」 ダン・ブラウン

■ダ・ヴィンチ・コード  ダン・ブラウン著

未明にローマ法王が亡くなった。
なんだかちょっとタイムリーで、読む速度も速まった(不謹慎かもしれんが)


※以下ネタバレ含む&基督教崇拝の方は気を付けてください。
 個人的思想で好き勝手、ズラズラ書き連ね。結局東洋マンセー主義。

すんなり読めた。
かったるい歴史読本かと思ったらそうではなく(神々の指紋は断念した)。
暗号を解読して行くミステリーの中に宗教概念やら美術やらの知識がちらほら。
西欧文化に入り組んだ基督教の謎解きですかね。

おもしろかった。
ダ・ヴィンチの作品に関する隠喩なども興味深く読めた。
余談ながら最後の謎解きは、即で分かった。
ニュートンって言ったら…万有引力=リンゴ(又は地球かと)
簡単ではないか。
後半にかけて暗号解読にも飽きたのか、スリル感がかけてきた。
裏文字っつうのも、職業柄なんとなく気づいたし…。
新しいモノに目が行くのは最初だけって言うのが思い知らされた点。
最後の結末には「え〜こんな締め方?」と思った。
ラブ・ロマンス排他主義の私だからかもしれん。
仮想恋愛を求めて読書をするのではないので。
あと、随所にちらばる下ネタ表現にばかり「へぇ〜」と頷いてしまう私。
ロマンスより卑猥な話の方が好きなのかね…。
エッフェル塔がリンガだとか、薔薇はヨーニだとか。
結局、世の中、タントラなのだ。そうなのだ。
そもそも、秘密結社の聖婚崇拝も、タントラの影響では無かろうか…と。
ヒンドゥー教好きだから源流を全てそこに持って行ってるのかもしれん。
だが、無い知識をひけらかすようだが、性を崇めると言う事に関しては、インド周辺が一番早かったんじゃなかろうか。
欧州でいつ、どうやってタントリズムの華(と言っていいのかも謎)が咲いたかはしらん。
しかし、儀式の一つとまでなるには、なんらかのカタチでヒンドゥー教やら仏教のタントラの影響、介入が有ったのではなかろうか。
世界はもうそのころつながっているんだし。そう有って欲しいなぁ。



しかし、話の軽快さ、暗号解読の爽快さを澱ませるものがひとつ。
基督教に対する妙な感覚、それ。

なんなんだ、基督教ってのは。


「禁欲な基督教」が、他人様の性行為崇めてるなんてこれ読んで初めて知った。
なんとなく「姦淫はダメー!」という先入観があった。
これこそ、教会側が目指した教えなのだろうと思った。
見事に染められておりますよ、この極東の島国の一国民が!
すごいね、ローマ・カトリック教会って!
なんで日本人が結婚式を教会でやるのかも私はワカラン。
日本人なら神前だろが〜!…と、ここら辺は関係ないか。

上手くまとめられぬが、基督教は、同化がお上手ではなかったのだな。
というか、その手のスキルを持ち合わせようとしなかったのでは。
一神教はやっぱり一神教で、その神の威厳を保つには他を淘汰せねばならん。
十字軍遠征でかけりゃでかいほど結構。神の加護よ今此処に。
その淘汰が、威厳そのもの。他を寄せ付けぬ孤高の存在な訳。
だから、ナンバー・ワン。

ところが我らが仏教やヒンドゥー教は、多神教。
同化や懐柔がとっても上手かったように感じる。
相手をこてんぱんに打ちのめしちまおうなんてなかったんだよな。
優劣はあれど、皆一緒に同次元に存在していた。
信じる人の数だけ神はいる訳です(その個人自体が神とも言いきるしな)
それ故、オンリー・ワン。…えぇ宗教やね〜。


基督教に対する興味がない分、この宗教の知識は常識以下な私。
というか、間違っているような気もしてきた。大幅に。
読んで、ますます多神教賛歌が高まっただけ(極論)
そんでもってますます基督教への疑問が募っただけ。
なんで法王はあんなに偉いのだ?
「人類皆平等」が基本理念じゃないのか??
なして階級があるのだ??
ヒンドゥー教は分かるぞ、カーストの元に成り立ってるから。

……やっぱり知識が足りないのだろうね。
よし、本読んでみよう。

私の知的探求心は歴史・宗教関係に一番向きます。
なんでか自分でもわからん。
そんな知的探求心をまた別の方向へ導く一冊でした。




    ←過去     総目録      未来→