あらぶった結果��

先日行った旅行で昔の病気をこじらせまして・・・・・
さいゆうき現パロの悟空＋斉天です・・・・・・



注意
・悟空と斉天がそっくりの別人で同じ高校
・斉天おんなのこです
・三蔵と悟空、金蟬と斉天はいっしょにすんでるよ
・いっそ身内向け


















わいわいがやがやとばかみたいに音がふっと耳元に戻ってきて、あ、寝てたな俺、と目を何度かしばしばさせる。ホームルームが終わって起立、礼、と声がかかるのに慌てて立ちあがって気持ち頭を下げると、中途半端に眠っていた身体がどんよりと重い。
そのままがたがたといすを引いて立ち去っていくクラスメイトを横目にもう一度着席すると、端々に傷のいったうすっぺらい机がぐんと目の前に迫ってきてそのまま沈む。試験期間で部活は休みだ。もう少しだけ、とうつらうつらしながら結局素直に目をつむると、前のほうにクラスメイトの気配を感じた。中間試験の1日目が終わって中途半端な安堵感がありありと滲む声が、ぼんやり膜をはったような向こうに聞こえる。眠たい。
そういや誰それが誰それとつきあってるらしいよ、まじかよーと、試験に全然関係ないたわいもない噂話が展開されているのに、俺どっちもしらねーと心の中だけで返して、へー、まじかよーという声に同じく心の中だけで同調してみる。うすっぺらいどうでもいい会話だ。何組の誰それがさーとかあいつかわいいよなーとか、修学旅行の延長みたいな話。ぶわぶわと睡眠と正気のちょうど間。悟空は浮いたり沈んだりして漂っている。
限りなく眠りの淵の傍で、あ、それは俺知ってるな、と思った名前がふわっと浮いた。大学生っぽい年上の男と一緒にいるのを見たとか、もっと上の男だったとか、そういうたわいのない話。男と男がイコールじゃない、のと、あいつなんかちょっとやべーよな、とか、そういうたわいのない話。ああいうの俺無理だわーとか、感想までついてきて馬鹿笑いしてるのに、そっかーそうねー俺も無理だね、と心の中で同調する。
もう行くか、と思って立ち上がる時に前の椅子をなんとなしに蹴り飛ばすと、思いのほか大きな音が響いて悟空のほうが驚いた。
「・・・っにすんだよ」
「はは、ごめんごめん」
笑いながら立ち上がる。まだ身体は重い。ぺらぺらに薄い鞄を持って立ちあがって振り返るとクラスメイトはちょっと変な顔で目を反らした。なんだろね。
孫君ばいばい、とドアの近くで話している女子たちのあいさつにばいばいと返して、上履きをぺたぺたさせながら廊下に出る。西日がちょっとまぶしい。目を細めて階段を下りると下駄箱のところに見慣れた後ろ姿があった。
年季の入ったすのこの上で上履きを脱いで靴に履き替える。ふわりと甘い匂いがして、目を上げると、目が合った。金色の目玉は同じ色をしているけれど外から薄く入る夕暮れの光を反射して少しオレンジにも見える。靴を履いて外に出る。図らずも隣に並んだ。
歩幅を気にせず歩いているのに距離はそのまま。西日はばかにまぶしい。三蔵は今日遅くなると言っていたが、一体何時になるんだろう。夕飯はいるのかな。
ぼんやりとまだ眠たい身体を引きずって下校中の生徒に混じって帰宅の途に就きながらアスファルトは薄いオレンジに濡れている。時々光る砂粒のようなのをぼんやりと見ながらだらだらと歩いていると一瞬指が触れて離れた。
斉は昔から体温がばかみたいに低い。悟空は人より少しだけ高いので、冬の寒い夜に三蔵がさりげなさを装って全然さりげなくなく腕に指先をあててくることがよくある。一瞬ひやっとするからやめてほしいがやめてと言ったことはまだない。だからそういうときは温かいコーヒーをいれる。湯気を上げるカップをローテーブルに置くと、彼は緩慢を装ってさっとそちらに温める術を移行するのをちょっとだけがっかりした思いで見ながら。
ふわんと隣で甘いにおい。早く帰ってこないかな、と、悟空すらまだ家についてないままで思った。
2011年10月09日(日)