鶴は千年、生活下手

2002年10月23日(水) 子供の目から

洗濯物を干しながら、突然頭に浮かんだこと。

このエンピツさんで、親の不倫に悩む高校生の女の子の日記が
有ったと思った。
ランダムジャンプして読んだことが有ったはず。

そうだね。
不倫という言葉を知らないくらい小さい子供でも、親の様子は
わかるものなんだよね。
ましてや高校生なら、とっても悩んでしまうはずだよね。

わたしだって、小学生の頃から大人びた考えを持たなくてはな
らなかったのだが、それがもっと小さい頃だったらどうだろう。
親が思うよりもずっと、子供はなんでも聞いているし、知って
いるんだよね。
ただ、自分には何も出来ないことも知っていて、ひたすら両親
が穏便に過ごせるように気を使ったりするんだ。
たとえば、家族で車に乗ってでかけるとき。
母の運転にいつもケチをつける父。
不機嫌になるのが見ていられなくて、懸命に父の機嫌をとる。
そんなことが何年も続いていたら、大人びた子供になるよね。

両親がもめているとき、どちらかの親が出ていこうとしている
とき、はっきりと自分の意見など言える子供が果たしてどれだ
けいるんだろう。
きっと、いないよ。
だけど、子供たちはきっと親をちゃんと見ている。
彼らは、親の一言一言をきいているし、やることを見て知って
いる。
自分達の子供だからといって、自分達の一部だなんて思わない
でほしい。
自分達の都合で行き先を決めたりしないでほしい。
子供たちの意見を、辛抱強く聞いてあげてほしい。
きちんと話せば、小さい子供でもきっとわかるはす。
だから、ちゃんと子供に話してほしい。

母は、離婚の直前になって、わたしに詳しく今の状況の説明と
これからのことを説明してくれたが、父とは何も話していない。
未だに父を面と向かって責めることは出来ない。
恨んでいるなんてことはもとからないが、問い詰めてみたいと
いう気持ちだけが残っている。
わたしは父と暮らすことに全く未練が無かったから、寂しいと
か悲しいとか思ったことはない。
しかし、わたし達三人(母、姉、わたし)の辛い経験に対して
は、やっぱり父からはっきりと言葉で謝って欲しいのだと思う。

借金するとき、今の奥さんと逃げると決めたとき、姉やわたし
のこと、祖父母のことは少しでも考えてくれたのか。
考えた上で、何もかも失うとわかっていて行動を起こしたのか。
本当ははっきり聞いてみたい。

あなたの自慢の娘が、平気であなたより母親を選んだことを、
あなたはどう思っているのかと。
その選択のもとになったことが、毎日わたしが見せられていた、
両親のケンカだったりしたことを知っているのかと。
あんなに子供を大切にしてくれていた母が、どんな思いでわたし
を置いていくと告げたのか、わかっているのかと。

心に傷を持ちながら暮らしていると、自分のことはわかっている
ようでわかっていないということが多い。
自分のことがなんでもわかったら、悩むことなんて無いもんね。
わからないから悩むのだし、悩むからいろんな精神的なストレス
が生じる。
だけど、きっとこの悩む時期を乗り越えたときに、自分のことが
わかるようになって、いろんな辛い過去とかが少しだけ客観的に
見られるようになってくる。

そのときに、悩んだとき側にいてくれた人達のありがたさがわか
るようになるんだよね。
わたしなんか、二十数年かかったけどさ。(笑)

 怒鳴るほど軽いものではない我の怒りを知らず 怒鳴りし父は
                             (市屋千鶴)


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